15.T-Supportが整形外科疾患の患者さんの歩行動作に及ぼす影響に関する研

 

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今回、大腿骨頚部骨折を呈し観血的整復術を施行した症例に対し、股関節屈曲モーメントを補助する目的で川村義肢株式会社製歩行補助具T-Supportを使用しました。T-Supportは脳卒中片麻痺患者の歩行トレーニングにおいて使用される機会が多く、整形外科疾患の歩行動作に対する影響は明らかにされていませんでした。本症例において継続的に使用した結果、下腿三頭筋の収縮のタイミングの改善、左股関節伸展時の疼痛の軽減、SP値の増大が認められ、その効果は使用後にも継続しました。そこで、整形外科疾患におけるT-Supportの効果機序について報告します。

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症例は40歳代の女性で左大腿骨頚部骨折を呈し、観血的骨整復術を施行していました。ROM-Tにおいて左股関節伸展に大きな制限を認めませんでしたが、歩行動作時には術側下肢の立脚後期に股関節前面の疼痛の訴えがあり、左股関節の伸展が不十分でした。そのため股関節伸展を促し、股関節屈曲モーメントを補助する目的で歩行練習中にT-Supportを使用しました。

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装用時の歩行因子の分析を目的に、パシフィックサプライ社製歩行分析装置Gait Judge Systemを用いて足関節底屈トルク値のFirst Peak値、Second Peak値を分析しました。評価指標は10m歩行所要時間およびステップ数、FP値・SP値の平均値を算出しました。また、立脚期の下腿三頭筋の収縮のタイミングをT-Support装用時と未装用時に測定し比較しました。評価は入院より16経過時点、26経過時点、37経過時点に実施しました。

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    入院より16経過時点の結果です。
左はT-Support未装用時、右がT-Support装用時となっています。T-Support未装用時に股関節伸展時の疼痛を認めており、下腿三頭筋の筋収縮はONOFFが明確ではなく、常時収縮している状態でした。T-Support装用時には、股関節伸展時の疼痛は軽減し下腿三頭筋の筋収縮にONOFFが明確となりました。


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 26日経過時点です。

T-Support装用した歩行練習を中心に10日間リハビリを行いました。T-Support未装用時の股関節伸展時痛は軽減してきており、下腿三頭筋の筋収縮にONOFFが出現し持続効果を認めました。しかし、T-Support装用時と比較すると下腿三頭筋の筋収縮のONOFFは鮮明ではありません。

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37日経過時点です。

T-Support装用した歩行練習を中心に21日間リハビリを行いました。T-Support未装用時の股関節伸展時痛は軽減し、T-Support装用・未装用ともに下腿三頭筋の筋収縮のONOFFが明確となりました。

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次にT-Support装用・未装用時のSP値になります。
T-Support装用時にSP値の増大を認めており、SP値の増大に伴い10日ごとに歩行速度の向上を認めました。37日以降はSP値と歩行速度の向上は認められませんでした。


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考察です。
T-Support装用による、左股関節伸展時の疼痛の軽減およびSP値の増大について考察します。本症例は既往に臼蓋形成不全による変形性股関節症を有していました。そのため、大腿骨頭の被覆率を増大させ、大腿骨頭の安定性を高める目的で歩行時のアライメントは骨盤前傾位となり、腸腰筋の筋緊張が亢進していました。この影響で股関節伸展時に疼痛を認め、歩行時の股関節伸展が困難となっていました。筋緊張亢進による疼痛を軽減させるためには、立脚後期にかけての腸腰筋の過剰努力を減少させる必要があると考え、T-Supportを装着しました。T-Supportは装着下肢の股関節伸展に伴い、股関節前面の弾性バンドが伸長するため、特にターミナルスタンスからイニシャルスイングにかけて股関節屈曲モーメントを補助する機能があることが明らかとなっています。術側下肢に装用することでターミナルスタンスでの股関節屈曲モーメントを補い腸腰筋の過剰努力が軽減したことで疼痛が軽減したと考えられます。


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 次にSPはフォアフットロッカーの機能を反映するとされており、立脚後期からの足関節底屈による歩行速度の向上に貢献するとされています。SPは立脚後期の足関節のストレッチショートニングサイクルが関与していると考えられており、ターミナルスタンスでの股関節伸展が必要となります。本症例では疼痛減少による歩行時の股関節伸展角度の増大がSP値の増大につながったと考えられます。SP値の向上により下肢の推進力が増し、歩行速度が向上しました。また、歩行周期全般で認められた下腿三頭筋の持続した筋収縮は装用により筋の収縮と弛緩のタイミングが明確になりました。下腿三頭筋の筋発揮のタイミングが明確となったこともSP値の向上に貢献したと考えられます。


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まとめです。従来、T-Supportは脳卒中片麻痺患者の歩行トレーニングにおいて使用されてきましたが、本症例の変化を通
し、整形外科疾患においても使用効果があることが示唆されました。今後も整形外科疾患に対しての効果検証を行って
いく必要があると思われます。

 

 

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はじめに。変形性膝関節症患者の歩行中の特徴には、膝関節の屈曲運動が減少するStiff-knee gait pattern”以下SKG”や下腿筋のco-contractionが挙げられます。
これには、内反アライメントや不安定性が原因とされており、エネルギーコストの増大や推進力を減少させます。
さらに、SKGやco-contractionは全人工膝関節置換術後においても残存することが明らかになっています。
しかしながら、これらに対する有効な介入方法についての検証は十分ではありません。


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本研究の目的は、SKGおよびCo-contractionを認める全人工膝関節置換術後症例”以下TKA”に対する歩行補助具T-Support装用による即時効果および持ち越し効果について検証することとしました。

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まず本研究で使用した歩行補助具T-Supportについて説明致します。構造としては、体幹部分のベストと、////////そこから短下肢装具の下腿カフ部分までバンドで連結した構造により構成されています。そのバンドは立脚後期から前遊脚期にかけて最も伸長されます。機能としては、立脚期では股関節屈曲モーメントの増大や股関節伸展角度の増大、遊脚期ではスイングの補助に作用しています。

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本研究の対象は、両側のTKAを施工された60歳代の女性1名としました。膝の関節可動域やMMTは比較的良好で、疼痛も認めませんでした。歩行能力に関してはフリーハンド歩行が自立レベルでしたが、SKGを認め、膝の曲がりにくさが聴取されておりました。また、遊脚初期から遊脚中期における前脛骨筋“以下TA”と内側腓腹筋“以下MG”のCo-contraction認めておりました。


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測定項目は、TAおよびMGのCo-contraction time、遊脚期における膝関節最大屈曲角度、歩行速度、歩数、Second Peakとしました。Second Peakとは、前遊脚期に生じる足関節底屈トルクのことで、蹴り出しの力を反映しています。

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表面筋電波形の計測には、Gait Judge Systemを使用しました。Co-contraction timeは遊脚初期から中期に発生した筋収縮時間を全遊脚期時間で除することで正規化し算出しました。歩行中の筋収縮の定義は、静止立位時の平均振幅をベースラインとし、歩行時にベースラインより高い値が得られた波形を筋収縮と定義しました。
遊脚期における膝関節屈曲角度は、矢状面上からビデオカメラで撮影し、画像解析ソフトImageJを用いて算出しました。

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実験のデザインはシングルケースデザインとし、T-Support装用前条件とT-Support装用条件、そしてT-Supportを外した状態の後条件の3つの条件で歩行因子を比較しました。
なお、T-Supportによる持ち越し効果の影響を検証するため、後条件はT-Support装用トレーニングを15分間実施した後に評価を行いました。
統計解析はスライドをご参照ください。

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結果です。左からT-Support装用前条件、装用条件、後条件となっています。Co-contraction timeは装用条件において有意に減少しました。また後条件においても減少しており、T-Support装用による持ち越し効果を認めました。
Second Peakは装用条件において有意に増大しました。

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次に膝関節最大屈曲角度の結果です。前条件と比較して装用条件と後条件では屈曲角度が増大しており、即時効果および持ち越し効果を認めました。
また歩行速度や歩数においても装用条件と後条件において改善しており、即時効果および持ち越し効果を認めました。

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考察です。Second Peakが増大した要因として腓腹筋腱が伸長されたことによるストレッチショートニングサイクルが寄与していたと考えます。先行研究では、T-Supportを装用する運動学的な効果として、立脚後期における足関節背屈角度が増大すると報告されており、背屈角度の増大、つまり腓腹筋腱がより伸長されたことでSecond Peakが増大したものと考えます。
////////次にCo-contraction timeが減少した要因として、推進力や不安定性が改善したことに起因していると考えます。推進力の減少はCo-contractionを増大させることが先行研究で報告されており、本研究でSecond Peakが増大していることからも推進力の増大によりCo-contraction timeが減少したものと考えます。
また不安定性もCo-contractionを増大させると言われており、T-Supportの体幹ベルトによる腹部圧迫が腹腔内圧を上昇させ、安定性が向上したことによりCo-contraction timeが減少したと考えます。

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次に、膝関節最大屈曲角度が増大した要因についてです。先行研究ではSKGは大腿直筋の過活動や足関節底屈筋力の低下が原因とされています。////////T-Supportを使用することでスイングの補助やSecond Peakが増大することから、/////////装用により大腿直筋の過活動が抑制されたことや、足関節底屈トルクが増大したことでSKGが改善したと考えます。

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まとめです。SKGやCo-contractionを認めるTKA症例に対してT-Supportを装用することによる即時効果および持ち越し効果を検証しました。
その結果、装用によりCo-ContractionやSecond Peak、膝関節屈曲角度を改善する効果が認められ、T-Supportの有効性が示唆されました。
 

 

プロフィール

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ニックネーム
中谷知生

Tomoki Nakatani
所在地
兵庫県宝塚市にある、宝塚リハビリテーション病院に勤めています。
職業
理学療法士です。

Certificated physical therapist in Neurology

自己紹介
I am interested in physiotherapy for improvement of gait ability of a patient with stroke hemiplegia.
And I'm a member of Japan Physical Therapy Association stroke guideline crew.

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