Je m'occupe de tout en bloc.
2018年4月25日 11時57分25秒 (Wed)

お昼休みの文献抄読会、第7回。
今回はパシフィックサプライからオリベッティにも参加していただきました。
スライドと読み原稿を公開しようか?
5分前後のプチ発表やから、枚数も文字数も少ないよ。


今日私が紹介する論文のタイトルは、
Reducing The Cost of Transport and Increasing Walking Distance After Stroke: A Randomized Controlled Trial on Fast Locomotor Training Combined With Functional Electrical Stimulation
『脳卒中片麻痺者の歩行距離増大と移動エネルギーの減少、機能的電気刺激を併用した早歩き練習に関する検証』的なニュアンスだと思います。
論文の種類は原著論文、研究デザインはRCTです。
掲載されている雑誌はニューロリハビリテーション&ニューラルリペア、というアメリカのニューロリハの学術誌で、筆者はアワドさんという、ボストン大学のPTです。

内容を紹介する前に、なぜ私がこの論文を紹介しようと思ったか、について説明しておきます。
脳卒中片麻痺患者さんの歩行能力を向上させるために、歩行量を増やすということはガイドラインにも記載されていますので、みなさん良くご存じのことと思います。
ただ、歩行能力といっても、アウトカムはいろいろあります。
例えば、歩行速度を向上させるにはどうしたらいいか。
先行研究において、歩行速度を向上させるには、麻痺側下肢の推進力を増大させることが重要であること、また下肢の推進力は麻痺側足関節底屈筋力と立脚後期の下肢の角度、いわゆるtlaに依存すること、が明らかになっています。
では、歩行耐久性を向上させるにはどうしたらよいのでしょうか?
その疑問に対して、面白い検証をしている論文があったので、紹介します。

ひとことで、どんな論文かというと、慢性期脳卒中片麻痺者の歩行効率を上げるには、快適速度で歩くよりも、電気刺激を併用しつつ最大速度で歩いたほうが効果的だった、という内容でした。

対象は50名の歩行可能な脳卒中片麻痺患者でした。
取り込み条件はいろいろあったんですが、最大の特徴は『装具無しで自力で歩行できる患者』であるところがポイントかと思いました。
発症からは平均1年半以上経過していました。
この50名を3群に分けて、快適な速度で歩く群、速い速度で歩く群、FESを行いながら速い速度で歩く群に分けて、どのグループにおいて歩行時のエネルギーコストが最も減少するのか、を調べています。
練習を12週間行い、練習前、練習後、練習後3ヶ月のそれぞれで、6分間歩行、歩行時のエネルギーコストを計測しています。
この論文の面白いところは、早歩き練習をした際のメインアウトカムとして、歩行速度ではなく歩行のエネルギーコストを検証しているところです。

具体的な方法です。
歩行練習は3群ともトレッドミルを用いて、6分間を5セット、計30分の歩行トレーニングを週3回、計12週間実施しています。
機能的電気刺激群ではフットスイッチのあるタイプの機器を使用して、立脚終期から遊脚期にかけて、ガストロと前脛骨筋に順番に刺激が入るような設定だったみたいです。

結果です。
左上段のグラフは6分間歩行距離、下段のグラフが快適歩行時のエネルギーコストです。
こうやってグラフを見ると、電気刺激早歩き群と早歩き群の2つが、6分間歩行距離も、快適歩行速度でのエネルギーコストも有意に向上しているように見えます。
ただ、これは統計処理をいろいろする前のデータです。
3群間の平均値の差を検定するために、分散分析をしています。
ここがこの論文を読むうえで一番難しいところだったんですが、分散分析をする際に、ベースラインとなる各群の快適歩行速度が異なるため、これを調整しないといけない、ってことが書いてありました。
ただ、そのために具体的にどんな統計処理をしたのかは…ちょっと訳しきれませんでした。
何かよくわからなかったんですが、歩行速度によるバイアスを取り除く統計処理をいろいろやってみたら、導き出された結論は、機能的電気刺激を併用した早歩き練習において、有意にエネルギーコストが改善した、ということになっています。
そして、6分間歩行距離については各群の間で有意な差が認められなかった、としています。
このことから、筆者は、脳卒中片麻痺者の歩行耐久性を向上させるには電気刺激を併用した早歩きトレーニングが有効である、と書かれていました。

最後に、今回発表させていただいていろいろ勉強になったことがあるのでお伝えしておきたいと思います。
私が最初に今日ご紹介した論文を目にしたのは、とある日本人PTのブログだったんですね。
そこでこの論文の内容がどう紹介されていたか。
『その結果、速く歩く練習を行ったグループ、FESを行いながら速く歩く練習を行ったグループで練習後の6分間歩行距離の増加、歩行時のエネルギーコストの減少が示され、3ヶ月後においても維持されることが明らかになりました。』
と紹介しています。
多分、これ、間違ってるんじゃないかと思うんですね。
なぜ間違った解釈にたどりついたのかはよくわかりませんが、今回英語論文を自分で訳してみて、初めて違う、ということに気づきました。
こういうことって、実はネット上だけでなくって、査読をパスして掲載された学術論文なんかでもよくあります。
初めに、や考察なんかで紹介されていることと、実際にその参照されている論文の内容がかなり違うというか、自分の都合の良いようにミスリードしている、ということは本当に良くあります。
最近はブログとかツイッターで、論文の内容をさくっとまとめてくれているサイトがたくさんありますけど、そこで書かれていることをそのままソースを確認することなく、信じてしまうということはちょっと危ないことかもしれません。
面倒だと思いますが、やはり自分で論文を取り寄せて、時間をかけて読みこんでみる、ということが一番大切なことではないかと思いました。
…こんな浅めの理解でええから、みんなどんどん発表して。
これ、めっちゃプレゼンの勉強になるよ。

午後、滋賀の神崎中央病院さんから、ヤスカワ氏とイシカワ氏がご来院。
当院のリハを見学していただきました。
2時間ほど病棟でいろいろ見ていただいてから、応接室で話し込んでたらあっというまに1時間近く経過してた。
やっぱり同じ方向を向こうとしているヒトと理学療法をディスカッションするのは最高に楽しいね。

とっても気分が良かったので、お土産にTSじゃがりこをお持ち帰りいただきました!
そういえばバタバタしててブログで紹介してなかったけどね、つい先日、チロルチョコに続いてじゃがりこを作ってみたん。
でもこれはあかんわ。
なんか印刷がしょぼくて、不採用やな。
あ、4個くらい残ってるから、コメント欄に欲しい、って書き込んだ人にあげる。
もう二度と作らないから、ある意味貴重やで。

5時から、4事業所の管理者会議&尚和会療法部教育委員会。

みんなで苦労して作ったキャリアラダー、いよいよ今年度から試験運用なんです。
ワクテカやね。
それにしても今日は7月の理学療法士講習会への受講希望のメールがたくさんきたわ。
理論編は既に130名を超えております。
祭りやなぁ。
歩行祭りや!
みんなボキについておいで!
まとめて面倒見てあげるから!
コメント
和田隆司登録ユーザー
無題
じゃがりこ欲しいです。記念に
投稿日:2018年4月25日 21:05
ババーラ登録ユーザー
じゃがりこ。
ババーラのつたない論文をディスる勉強会もぜひ。
投稿日:2018年4月26日 22:46
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プロフィール
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Tomoki Nakatani - 所在地
- 兵庫県宝塚市にある、宝塚リハビリテーション病院に勤めています。
- 職業
- 理学療法士です。
Certificated physical therapist in Neurology
- 自己紹介
- I am interested in physiotherapy for improvement of gait ability of a patient with stroke hemiplegia.
And I'm a member of Japan Physical Therapy Association stroke guideline crew.
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