帰ってきたオダくん。

2017年3月1日 21時03分06秒 (Wed)

img_20170301-150323.png
ボキが今介助技術を一番力を入れて教えてる2階のオダくん。
難易度の高い患者さんを担当しててね。
結構ええ感じに上達しつつあったところで、長期休に入ってたのだ。
今日からまた練習や。
左がオダくん、右がボキ。
ターミナルスタンスでもっと背屈させられるはずやねん。
そこから上手くスイングを促せたら、ガストロのお休みがつくれるねん。
オダくん、ボキの抱いてたイメージより、結構愛嬌があるんだよね。
なるべくボキの持ってる技術をそのまんま伝承できればな。


午後、リーフさんから足圧測定インソールのPiTのデモ機が届きました。
明日の中村病院さんでのセミナー用に、急いで送ってもらったん。

img_20170301-172034.png
シズーカがコマツさんの担当患者さんをフォローするのをお手伝いする予定だったので、せっかくだから介助方法の違いによる足圧の変化を検証。
これ、シズーカが1人で後方介助。
上段が麻痺側。
ほら、踵への荷重が立脚中期以降まで続いてるやん?

img_20170301-172045.png
これ、3人4脚。
ほら、踵に荷重がかかってるのが一瞬だ。
前足部への荷重量もがつんときてる。
非麻痺側の踵接地も促せてる。

やっぱり3人4脚はええな。
そしてPiTってやっぱり面白い評価ツールだ。



さて、明日は夕方前から枚方の中村病院さんへ。
パシフィックサプライさんの依頼で、介助歩行のレクチャーなのだ。
1時間で何をどうやって伝えるか…
特別に明日のスライドと読み原稿をここに載せてみましょう。

img_20170301-181751.jpg

img_20170301-181758.jpg
今日の内容はこの3つです。
まず、長下肢装具を用いた歩行トレーニングの目的について、簡単におさらいします。
次に、長下肢装具という道具と、セラピストの歩行介助の技量がどういった関係にあるのかについてお話します。
ここまでが座学で、その後本日のメインである長下肢装具を用いた歩行介助の実技、これはT-Supportの使いかたの説明を交えながらのお話しです。

img_20170301-181804.jpg
まず長下肢装具を用いた歩行トレーニングの目的について、です。
脳卒中片麻痺患者さんの歩行トレーニングにおいて、長下肢装具という道具は一体何のために使うのか。

img_20170301-181810.jpg
これは2001年の研究です。
歩行動作における、股関節の前方への推進力は、どの関節・どの筋肉が重要かを研究したものです。
太い線が股関節全体の推進力です。
そのうち、どの関節がどのタイミングで貢献するのかを調べたところ、立脚前半は股関節伸筋が、立脚後半では足関節底屈筋が推進に貢献していることがわかった、というお話ですね。

img_20170301-181815.jpg
同じ論文で、下肢の荷重に対する支持力は、立脚期全般を通して、足関節底屈筋が最も重要であることがわかった、というお話です。
このことから、立脚期の支持性も、推進力も、足関節底屈筋が非常に重要な役割を果たしているんですね。

img_20170301-181820.jpg
この論文は、脳卒中片麻痺患者ではどの筋力が歩行速度の決定因子になっているのか、麻痺側と非麻痺側に分けて調査したものです。
結果、麻痺側下肢の股関節屈筋と、麻痺側足関節の足関節底屈筋が重要である、としています。

img_20170301-181825.jpg
これらのことから、片麻痺患者さんの移動能力を向上させるためには、下腿三頭筋を鍛える必要性が高いことがわかります。
ではどうやって下腿三頭筋を鍛えればよいのか。

img_20170301-181830.jpg
これは京大の大畑先生の調査です。
回復期病棟入院中で長下肢装具を使用した歩行トレーニングを行っている片麻痺患者12名を対象として、長下肢装具歩行中の歩行筋電図解析を行っています。
その結果、長下肢装具の使用により下腿三頭筋では随意的な筋力発揮よりも強い筋活動が認められることがわかったんですね。

img_20170301-181835.jpg
つまり長下肢装具の使用は、安定した立位歩行動作の獲得のために下腿三頭筋を鍛えることができる道具なのです。
このような理由で、近年長下肢装具が普及してきたのですね。
ただし、気をつけなければならないのは、誰が使っても同じ結果を出すわけではないということです。

img_20170301-181839.jpg
長下肢装具による下腿三頭筋の賦活・促通は、歩行介助を行うセラピストの技量により、その効果が大きく左右されます。

img_20170301-181844.jpg
この動画は、新人PTのオオハタくんの介助歩行です。
下腿三頭筋の筋電図を評価しています。
一見筋収縮が得られているように見えますが、歩行周期で見ると、イニシャルコンタクトからミッドスタンスにかけての収縮であり、ターミナルスタンスでの筋活動はほとんど見られていません。
なぜこうなるかというと、介助者が後方に固定しすぎているんですね。

img_20170301-181849.jpg
これは同じ患者さんで、私が介助した場合です。
ターミナルスタンスにかけて下腿三頭筋が収縮していることがわかります。
さきほどのオオハタくんとの違いは何でしょうか?
一番の違いは、後方介助をしているセラピストが、麻痺側立脚後期にかけて、前足部への荷重をしっかり促しているかどうか、というところです。

img_20170301-181855.jpg
こうした反応は、長下肢装具だけではありません。
これは短下肢装具とT-Supportを併用した歩行場面です。
やはり立脚後期の下腿三頭筋の筋活動がもうひとつですね。

img_20170301-181901.jpg
私が介助します。
立脚後期の筋活動が促されていることがわかります。

最初にお話ししましたが、片麻痺患者さんが安定して立位歩行動作を行うためには、下腿三頭筋をしっかり働かせることが最も大切です。
しかし筋活動はセラピストの介助によって大きな影響を受けます。
この理屈は、T-Supportを使用した早期の膝ロック解除に挑戦する際も同じです。

img_20170301-181907.jpg
これはもう皆さんご存知でしょう、なつみが早期のロック解除に挑戦したときの様子です。
まずは長下肢装具で膝を固定している様子です。

img_20170301-181911.jpg
膝のロックを解除します。
ターミナルスタンスで激しく膝折れします。

img_20170301-181917.jpg
私が介助します。
ターミナルスタンスで股関節・膝関節の伸展位保持が可能となります。

私はこの介助技術は、あまりお勧めしてないんですね。
なぜなら難しいから。
ただ、先ほどお話ししたように、長下肢装具を用いて下腿三頭筋の筋活動を引き出すために、セラピストが前足部に重心をしっかりかけてゆく、という技術の延長上に、この技術もあります。
ですから全然別の技術ではないのですね。
長下肢装具で膝を固定した状態で、セラピストがじゃまをせずに、しっかり前足部への重心移動を促す。
そこが一番大事なんです。

img_20170301-181926.jpg
ではぼちぼち実技に入ろうと思います。

img_20170301-181951.jpg
が、その前にもう1症例だけ、動画をご覧ください。
これ、新人のアサイくんが初めて長下肢装具を作成した担当患者さんの後方介助を実施したときの動画です。
やはりストライドが伸びないですね。

img_20170301-181958.jpg
私が介助します。
ストライドが伸びます。
前足部に載せる気持ちがあれば、変わってきます。
今日の実技では、この点に絞って実技をやってみようと思います。

img_20170301-182005.jpg
今日はひとつ、面白い評価機器を持ってきました。
歩行時の足圧をモニタリングできるインソールです。
これを使用することで、介助歩行時にどのタイミングでどの程度前足部に荷重を誘導できているかが可視化されます。

img_20170301-182011.jpg
たとえばこれは先ほどのアサイくんと私の介助歩行の違いです。
左がアサイくんですね。
麻痺側前足部に荷重が促されていません。
右が私です。
前足中央部に荷重が促されています。
私が今、歩行トレーニングで最も大切だと考えているのは、介助歩行の技術、その違いが何をもたらしているかを可視化することです。
ではさっそく足圧をモニタリングしながら、介助技術の違いを見てみたいと思います。







こんな内容や。
明日はヤマタクが一緒に来てくれるらしい。
院内でも院外でも、ボキの知識と技術を欲してくれるヒトに、どうやって伝える場所と機会を確保するか…
来年度の大きな課題ンゴ。
 

コメント

6年目PT登録ユーザー

無題
中谷先生
スライド、非常に端的でわかりやすいですね!
やはり勉強になります!

見学させて頂いてからはや1週間が経過しました!
教えて頂いた事を意識して、後方介助での長下肢装具歩行練習、T-support+GSD、側方介助、
チャレンジしています!
特に指摘して頂いた点、MSt以降に患者さんを過剰に体幹伸展で固定せず、後方に引かないと
いう点に関して注意しています!
上手くできている自信はまだありませんが、経験を積んでいきたいとおもっています!
連れていった後輩も、少し意識が変わってきている様子です!
中谷先生のお陰です!感謝申し上げます!

また、先日お聞きできなかった質問をお時間のある時にGMAILでお聞きできればと
思っております。
非常にお忙しい様ですので、またお時間のある時に連絡させて頂きたいと思います。
どうぞよろしくお願い致します。
投稿日:2017年3月1日 21:18

中谷知生

無題
>6年目PT氏

コメントありがとうございます。
あらためて先日は遠方からお越しいただきありがとうございました。
もみぢまんぢゅうもおいしゅうございました。
また丁寧なお手紙もありがとうございます。
昨日はあの文面のおかげで何とかやる気が出ました。

オダくんは介助、上手になっています(笑

メール、気になさらずにいつでも。

投稿日:2017年3月2日 05:53

6年目PT登録ユーザー

無題
美味しかったなら幸いです。
こちらこそとても良い体験になりました!
ありがとうございました!

オダさん、介助上手になられてきてるんですね!
応援してます!
あんまり人の事言える立場ではないですが…

ありがとうございます!
またメールさせて頂きます!
投稿日:2017年3月2日 12:22

この記事にコメントする



メールアドレスは公開されません。サイト運営者からの連絡に使用されることがあります。

入力すると投稿者名がリンクとして公開されます。


表示されているひらがなを入力してください
認証コード

プロフィール

プロフィール画像
ニックネーム
中谷知生

Tomoki Nakatani
所在地
兵庫県宝塚市にある、宝塚リハビリテーション病院に勤めています。
職業
理学療法士です。

Certificated physical therapist in Neurology

自己紹介
I am interested in physiotherapy for improvement of gait ability of a patient with stroke hemiplegia.
And I'm a member of Japan Physical Therapy Association stroke guideline crew.

ブログ

12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930

blog

8月 2026年9月 10月
12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930

ライフログ

12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930
QRコード
携帯用QRコード
アクセス数
ページビュー数