10.T-Supportの継続利用に関する研究


T-Supportの良いところってさ、いろいろあんだけど、兎に角使用できる状況が多岐にわたる、ってところだと思うんだよね。
長下肢装具使用開始当初から、ロック解除、カットダウン、装具無しでの歩行まで、脳卒中片麻痺患者さんの歩行時に使用するといろいろ面白い治療効果が出現するわけさ。
だから当院では、回復期入院中の片麻痺患者さんで、結構長い期間使用することがあるの。
そういう症例を紹介してみようか。

10-1.長下肢装具から短下肢装具までずっと使ってみたん。

これはカジカワくんがリハビリテーション・ケア合同研究大会神戸2015で発表した内容。
動画を見てもらえないのが残念だけど。

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はじめに、T-Supportとは股関節前方に取り付けられた弾性バンドによりPre-Swingより遊脚期の股関節屈曲を補助することが可能となる歩行補助具のことです。
当院では長下肢装具
(以下KAFO)歩行から短下肢装具(以下AFO)歩行を通してT-Supportを使用することがあります。


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今回、長下肢装具作成直後よりT-Supportを使用した症例の経過を通し、各時期にどのように歩行能力の向上に貢献したかを考察し報告します。
各時期とは@
KAFO(膝継手ロック)時、AKAFO(膝継手ロック解除)時、BAFO時の3つの時期を言います。


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症例紹介です。
40歳代後半の男性で右被殻出血により左片麻痺を呈された方です。
平成
2611月中旬頃に発症され、第49病日に当院にリハビリ目的で入院されました。
入院時の
Brunnstrom recovery stageは下肢Uであり、歩行は麻痺側膝折れを認め麻痺側下肢のスイングは困難な状態でした。


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経過です。
KAFO(膝継手ロック)時のT-Support使用有無による歩容の比較動画です。
【動画開始】
左の動画がT-Support無し、右の動画がT-Support有りとなっています。
左はセラピストが直接装具を牽引しており、右はT-Supportの弾性バンドの張力によりSwingが補助されています。
動画より、KAFO歩行時は体幹後傾位であり、麻痺側下肢の振り出しは骨盤後傾による代償動作が認められます。
T-Support使用時はSwing補助により麻痺側下肢の振り出し時の代償動作の軽減が認められています。

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KAFO(膝継手ロック)時のT-Supportの使用効果はT.麻痺側下肢のSwingが弾性バンドにより補助されSwingしやすくなること、U.Swing補助により代償動作が軽減することが言えます。

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KAFO(膝継手ロック解除)時のT-Support使用有無による歩容の比較動画です。
【動画開始】
左の動画がT-Support無し、右の動画がT-Support有りとなっています。
動画より、KAFO(膝継手ロック解除)時に見られていた麻痺側下肢の膝折れがT-Support使用により軽減していることが分かります。

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KAFO(膝継手ロック解除)時のT-Supportの使用効果はT.膝関節前方にある弾性バンドにより膝関節伸展モーメントが発生し、麻痺側立脚中期の膝折れが軽減すること、U.体幹操作により麻痺側立脚初期から中期にかけての殿部後退を軽減でき、重心を上方に保つことができることにより膝折れが軽減することが言えます。

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さらにV.弾性バンドにより麻痺側遊脚後期の膝関節を伸展させることが可能となり、麻痺側下肢の踵接地が生まれています。そのため、AFOの足継手はGait Solutionであり、ヒールロッカーの機能がGait Solutionで補助され、重心位置が高くなります。


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AFO時のT-Support使用有無による歩容の比較動画です。
【動画開始】左の動画がT-Support無し、右の動画がT-Support有りとなっています。
動画より、T-Support有りの歩容において麻痺側下肢のPSwからISwにかけての時間短縮ならびに麻痺側下肢の歩幅拡大が認められます。

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AFO時のT-Supportの使用効果はT.Pre-SwingInitial Swingの時間が短縮すること、U.歩幅が拡大すること、そしてV.歩行速度が向上することが言えます。

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10m歩行速度はAFO歩行練習開始初期では17.82秒、24歩であったのが、最終的に15.68秒、22歩と歩行速度・歩幅が向上していました。
T-Support使用により歩行の実用性が向上し、屋内(自宅内)歩行がT字杖・短下肢装具使用し自立レベルとなりました。


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考察です。
T-Supportは側方、後方介助や見守り下での使用が可能で、弾性バンドの張力調整により麻痺側下肢のスイングの補助量を適宜変更できます。
T-Supportを継続的に使用することで患者の能力変化に合わせた課題難易度を設定でき、屋内歩行の獲得に繋がったものと考えます。


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まとめです。
回復期脳卒中片麻痺患者で重度の運動麻痺を呈した症例に対し継続的に
T-Supportを使用することで屋内歩行能力の獲得ができました。
今後の課題として継続的に
T-Supportを使用することで、具体的に身体機能のレベルでどのような変化が生じているのか精査していく必要があると考えています。

 

プロフィール画像
ニックネーム
中谷知生
所在地
兵庫県宝塚市にある、宝塚リハビリテーション病院に勤めています。
職業
理学療法士です。

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