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7.T-Supportが効果を発揮する条件に関する研究

 


T-Supportって、弾性バンドの張力で股関節の屈曲動作を補助することが最大のミソなわけです。
そこが起点になって、特に立脚期の運動が大きく変化してくるのがすごいところなんですよね。
で、そのバンドの張力なんですが、基本的には股関節が伸展位になったときにテンションが発生するように使用していただきたいのです。
なぜかというと、弾性バンドは股関節の屈筋をイメージしているから。
股関節の屈筋が、立脚中期以降、じわじわと伸ばされて、伸ばされて、縮んで、っていうところを狙ってるわけです。

…ということは、すでに揃え型で歩いている患者さんは使えないのか?
って話になるでしょ?
そんなことないんですよ。
揃え型の患者さんに使っていただくことで、徐々に徐々に前型歩行へと変化してきます。
そんなお話をしてみましょうか。

7-1.揃え型の患者さんで使用した場合の報告

これは2014年、第30回日本義肢装具学会学術大会でボキが発表した内容です。
どうぞ。

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近年、脳卒中片麻痺患者の歩行トレーニングにおいて長下肢装具を用いる機会が増えています。
長下肢装具を用いた歩行トレーニングでは、装具自体をセラピストが徒手的に牽引して介助することが多々あります。
しかし短下肢装具へとカットダウンしてしまうと、セラピストが直接麻痺側下肢を牽引するなどの介助を行うことはなかなか困難です。
私は常々考えていました。

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短下肢装具を用いた歩行でも、もっと積極的に麻痺側下肢を操作した方がより高い治療効果を得られる場合もあるのではないだろうか?

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そこで我々は、T-Support type Sという歩行補助具を作成しました。
構造は非常にシンプルで、弾性バンドを短下肢装具に巻きつけて引っ張り、スイングスピードを向上させるというものです。
これがなかなか面白い変化を生みます。

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当院でこの歩行補助具を使い始めてまだ1年ほどですが、これまで2つほどの学会でその効果を報告してきました。
その効果は3点あります。
一つは前型歩行を定着させること。
二つめは麻痺側・非麻痺側のストライドを延長させること。
三つ目は歩行速度が向上すること、です。
というわけで、現在我々は弾性バンドで麻痺側下肢を牽引するというアプローチが、どのような症例でより効果的であるかを検証しているわけです。

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例えばこの症例は、T-Support type Sが即時的に効果を発揮しました。
左側が未装着、右側が装着した状態です。
装着することで即時的に歩行速度が向上しています。

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一方でこの症例、右側が装着、左側が未装着の状態ですが、即時的な変化が見られません。

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なぜT-Supportで引っ張っているにも関わらず即時的な効果が出ない症例が居るのでしょうか?
そして即時的な効果が出ない症例ではT-Support を使用しても無駄なのでしょうか?
この発表は、装着当初にT-Supportが効果を発揮しなかった一症例の歩行能力の経時的な変化を通して、私の抱いたこのような疑問を明らかにすることを目的としています。

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症例は70歳代の女性で、左視床出血で下肢のブルンストロームリカバリーステージは2、表在・深部感覚ともに重度の低下が認められていました。
発症から4カ月が経過し、歩行動作は短下肢装具とサイドケインを使用し、3動作揃え型で著明な歩行速度の低下が認められていました。
トレーニングでは前型歩行の定着を試みましたが、獲得には至っていませんでした。
この症例において、T-Supportを継続的に利用しました。

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装着期間は第115病日から第139病日でした。
評価は週に一度実施しました。
T-Support type S装着時と未装着時の歩行速度、ステップ数などを比較しています。

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装着初日です。
左側がT-Support未装着、右側がT-Support装着下での歩行です。
歩行速度、ストライド、ケイデンスなどの歩行因子に、装着したことによる変化が見られませんでした。

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装着してから10日が経過しました。
左側が未装着、右側が装着下です。
ここで注目していただきたいのは、両者ともに前型歩行が獲得されてきているということです。
それにより、装着時にはT-Supportの弾性バンドが立脚中期から後期にかけて引きのばされ、スイングスピードが向上し、歩行速度が向上しています。

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装着してから25日目です。
左側、未装着の状態でも、前型歩行に伴うストライドの延長が定着し、T-Support装着時と未装着時の歩行速度の差が前回評価時に比べ近づいてきていることがわかります。

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歩行速度の変化をグラフにしました。
これまでの我々の経験では、T-Supportを使用した比較的運動麻痺の重度な症例では、装着しても歩行能力に著明な変化の見られない、装着利得の無い時期があり、その後装着により歩行能力が大きく向上するが未装着では能力の向上が見られない、装着利得の大きな時期があり、最終的に未装着時の能力が装着時に近づく、装着利得が小さい時期がやってくるという経過をたどる場合が多いように思われます。
本症例でも2度目の評価で装着時の利得が最大になり、3度目の評価では利得が小さくなっています。
この理由は、T-Supportの効果期序によるものではないかと考えています。

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T-Supportは装着肢の股関節が伸展位となった際にスイングを補助する構造となっています。
そのため歩容が前型の症例では即時的な効果が得られやすいものと思われます。

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一方で本症例のように、揃え型での患者ではバンド自身が伸長されません。
そういった症例では、T-Supportを装着した上で前型歩行を繰り返すトレーニングが必要です。
そして、type Sを装着した前型歩行の練習を行うことでその効果が発揮されるようになります。
つまり、重度の麻痺を呈する症例では、T-Supportが効果を発揮するまでに一定期間のトレーニングが必要になってくるということがこの発表の結論です。

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今回の検証はT-Support装着時・未装着時の歩行能力の変化について行いました。
当然ながらT-Support使用の最終的な目的は、未装着時の歩行速度の向上が定着することによって完結します。
この動画は左が115病日、右が139病日の未装着時の歩行の様子です。
T-Supportは良い歩容の運動学習を促す道具と私は考えておりますので、外した状態でも、その効果が持続しやすいと思われます。
以上を持ちまして、私の発表とさせていただきます。




…まぁそういうことです。
発表の中でも触れていますが、こういった経過は、特に運動麻痺の重度な症例で見られます。
そんな発表をもう一本。

7-2.これは…ある意味、宝塚リハビリテーション病院の学術活動のターニングポイントとなった、伝説の…

2015年の第4回脳血管障害への下肢装具カンファレンスでコマツさんが発表した内容です。

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はじめに。
脳卒中片麻痺患者の歩行練習において、歩行速度を向上させることが重要とされています。
そのためには下肢のスイングスピードを向上させることが重要です。

当院では、脳卒中片麻痺患者に対して歩行能力を向上させることを目的に長下肢装具を使用した歩行練習を行うことが多くあります。
長下肢装具での歩行練習においてはセラピストが後方から介助し、麻痺側下肢を直接牽引することにより下肢スイングを補助することが可能です。

しかし短下肢装具での歩行練習においては、セラピストが徒手的に介助することでスイングを補助することは困難です。


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そこで私たちは、ゴムバンドの張力により下肢のスイングを補助し、歩行スピードを向上させることを目的とした股関節屈曲補助バンド、T-Support typeSを作成しました。
typeSは麻痺側立脚後期において股関節が伸展されることによりゴムバンドが伸張され、麻痺側下肢のスイングスピードを向上させることが期待できます。
今回、重度の運動麻痺を呈し歩行速度の低下が著明であった症例に対し、TypeSを継続的に使用したことで歩行能力が飛躍的に向上したので、報告致します。


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対象は70歳代前半の女性で、右大脳基底核梗塞により左片麻痺を呈していました。
下肢のBrunnstrom recovery stageはU〜Vの移行期でした。
麻痺は弛緩性であり、左下肢の随意性・支持性に乏しい状態でした。

理学療法では主に長下肢装具を使用した後方介助歩行練習を中心に実施しており、短下肢装具でのサイドケイン歩行練習を開始した直後でした。
サイドケイン歩行では2動作歩行は定着しておらず、揃え型に近い歩容を呈しており、指示により極軽度の前型歩行が可能な状態でした。


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方法です。
短下肢装具「Gait Solution Design」を装着したサイドケイン歩行において、TypeS非装着時と装着時における歩行因子の変化を経時的に評価しました。

評価項目は、10m歩行所要時間とステップ数、および川村義肢株式会社製Gait Judge Systemを用い計測される足関節底屈トルク値(First PeakFP)としました。

評価はTypeS使用開始時点、13日・20日・29日経過時点に実施しました。

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結果です。

こちらは使用開始時のTypeS使用開始時における歩行の比較です。
それぞれの10m歩行所要時間とステップ数、FirstPeakおよびTypeS装着による利得は下の表に示しています。

動画は左がTypeS装着、右が非装着時の歩行です。

どちらも揃え型歩行に近い歩容を呈していますが、TypeS装着により10m歩行におけるステップ数が減少し、所要時間が短縮しています。

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こちらがTypeS使用開始13日経過時点における歩行の比較です。

使用開始時と比較して両者ともに前型歩行が可能となり、歩行スピードが大幅に向上しました。
この時点でも、
TypeSによる利得が認められています。


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使用開始29日経過時点における歩行の比較です。
両者ともにさらに歩行スピードが向上しています。
またTypeS非装着時と装着時の歩行スピードがほぼ同等となり、TypeS使用による利得が認められなくなりました。


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こちらは10m歩行所要時間およびステップ数の経時的な変化をグラフに示したものです。

赤のグラフがTypeS装着時、黄色のグラフが非装着時のものです。

どちらも使用開始時より13日経過時点ではTypeSの利得が大きく認められていますが、20日経過時点でその差は小さくなり、29日時点ではほぼ同等の結果となっているのがわかります。


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考察です。
本症例に限らず、重度の運動麻痺が認められる症例において、長下肢装具での歩行と短下肢装具での歩行とでは歩容が大きく異なる場合があります。
その理由として歩行動作の難易度の違いが大きいことが考えられます。
短下肢装具は長下肢装具と比較して膝関節の固定がないため関節自由度が高く、歩行の難易度は高くなります。
それに加え、長下肢装具での歩行ではセラピストが装具を直接牽引することで麻痺側下肢スイングを補助することが可能ですが、短下肢装具では困難です。
そのため麻痺側下肢のスイングに対する不安からストライドを抑制する傾向があると思われます。


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そこで麻痺側下肢のスイングを補助するためにTypeSを装着して歩行練習を実施しました。
TypeSを装着することで股関節伸展位からのスイングが保障されます。
それによりストライドが延長され前型歩行が可能となったことで、歩行スピードが向上したと考えます。


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また本症例はTypeS使用開始時において揃え型歩行に近い歩容を呈しており、麻痺側立脚後期における股関節伸展角度に乏しく、ゴムバンドの張力が発揮されにくい状態でした。

そのためTypeSを装着した状態で2動作前型歩行となるような誘導・指示を繰り返し実施することで、TypeSの効果が得られ、歩行スピードを向上させることが可能となったと考えます。

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まとめです。
TypeS装着により、重度運動麻痺を認める片麻痺患者においても、前型歩行を学習し歩行スピードを向上することが可能でした。

本症例のように揃え型歩行に近い歩容を呈している場合は、TypeSを装着した状態で前型歩行を促し、TypeSの効果がある状態での歩行練習を繰り返す必要があると思われます。






…どうでしょうか?
いろんな意見があると思いますが、改めてどうでしょうか?
異議がないようであれば次に進みますけれども。
 

7-3.最初は手で引っ張った方が良いときが多いんですよ。無論。

第5回脳血管障害への下肢装具カンファレンスで当院のハラダくんが発表した内容ですけれども。
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現在脳卒中重度片麻痺患者の歩行に対するエビンデンスは確立されていません。
しかし脳卒中患者に対して脳卒中治療ガイドライン2015では下肢運動量増加をグレードAと強く推奨しており、
また近年、システムモデルおよび学習理論を背景とした課題指向型トレーニングの有効性も数多く報告されています。
これらのことは歩行という運動課題を学習する上で重度片麻痺患者においても課題、環境、遂行者の相互作用を考慮し
課題特異的にさらに積極的に歩行訓練を導入する必要※があるのではないかと考えます。
さて重度麻痺に対する歩行訓練でまず出てくるのがみなさんお馴染み長下肢装具ではないでしょうか。
長下肢装具は関節の自由度を制限し運動を単純化させる機能を持ちます。
当院においても重度脳卒中患者に対し、入院早期から積極的にKAFOを用いた歩行訓練を行うことで活動量を高め
ADL能力向上に努めています、が、KAFOのみではなく患者の潜在能力をさらに高めるため、
次のようなデバイスを使用しています。


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それは歩行神経筋電気刺激装置ウォークエイドと歩行補助具T-Supportです。
WAとは機能的電気刺激のことであり、機能的電気刺激は脳卒中ガイドラインにおいても推奨されております。
使用目的として最も多いのが腓骨神経に電気刺激を加え、足関節を背屈させることで遊脚期のクリアランスを
保つ機能です。
次にT-Supportですが、この弾性バンドの張力を用いて下肢のスイングを補助することによりスイングの
運動学習に役立つとされます。
今回脳卒中重度片麻痺患者に対してこれらのデバイスを時期に合わせて選択し、積極的な歩行を促したことで
歩行能力向上が得られたため報告させていただきます。

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症例紹介です。60歳代男性、H27 年 7月7日に右前頭葉出血により左片麻痺を呈し、同年 8月31日に
当院入院となっています。
下肢のBRSはU、高次脳機能障害として注意障害がみられます。
入院当初の歩行状態はKAFOを使用し後方介助による歩行訓練を促しましたが、体幹伸展位保持と
下肢振出しに重度介助を要することで十分な運動量の確保は困難な状態でした。

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これが介入前の介助歩行の様子です。
弛緩性麻痺であったことから体幹の安定性は乏しく随意的に振出しを行うなどほど遠い状態でした。
そのため歩行中は右手でしっかりと体幹を固定し、左手で下肢振出しを行っています。
無論、重度介助を要していることから介助により前方への推進力を出すなど困難な状態であり、
歩行周期全体において後方重心、10Mを歩かせるだけで精一杯でした。


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ではこのような歩行に対して、現時点でどのような歩行形態が最も介助量を少なく、より能動的な歩行が
促せるのかを検証するため、KAFO歩行・FES歩行・FES歩行にT-Supportを加えた三つの条件下で
歩行測定を行いました。
これらの中で最も効果が得られた歩行形態を訓練として導入し1週間ごとに歩行速度、歩隔、背屈角度を測定し、
その時期に※最も適応となる歩行形態の効果判定を行いました。


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結果です。
まず初期評価のFES歩行とT-Support併用の結果をみてください。
この時点ではFESにより遊脚期にぐっと足部の背屈を促しクリアランスが保たれたことでFES歩行が
最も効率よく歩行が促せています。
それに対しT-Support併用ではFESと併用しているのにも関わらず、KAFOのみの歩行とほとんど結果が
変わっていません。
ここでもう一度※T-Supportの画像を確認してみます。
T-Suppotはこの骨盤帯からでるゴムバンドによる張力で下肢の振出しを補助します。
その一方でこれらは体幹屈曲位への外部トルクを発生させます。
これらのことは初期評価で体幹の安定性が乏しく重度介助を要する患者にT-Supportを併用しても
体幹屈曲方向への外部トルクが発生し、介助量が増えるだけでゴムバンドによる振出しよりも
徒手的介助による振出しのほうが歩行を促しやすいことが言えます。
しかし2週間以降の結果をみてください。
この時期においてはFES歩行よりもT-Support併用が結果として上回っています。
ここでは2週間の継続した訓練により体幹保持への介助量が減少し、ゴムバンドによる振出しが行いやすくなったことで、
本来のT-Supportの効果が出現し歩行速度が高まっていることが分かります。
次に赤のグラフで示したKAFOの歩行速度の変化をみてください。
KAFOにおいては週を重ねるごとに歩行速度が高まっています。
介助者の介助量を増やし、歩行速度が向上するのでは歩行能力が上がったとはいえません。
そこで重要なのはいかにこちら側の介助量を減らし患者自身の能動的な歩行を促すかがキーになってくるのではないでしょうか。


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そこで見ていただきたいのは先ほどの歩行速度と介助量の関係です。
一週目はFESが、二週目以降はT-Supportが歩行速度の向上と相関して介助量が少なくなっています。
これはFESで足関節を背屈させ振出しをスムーズにしたことやT-Supportを用いて下肢の振出しを補助したことが
結果として患者が持つ潜在能力をより引き出し、能動的な歩行をより再現できたと言えるのではないでしょうか。
またこれらの条件で下肢の運動量を増やせたことや積極的に反復した歩行訓練が行えたことは
KAFOのみの歩行においても歩行速度の向上がみられた理由であると考えます。


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歩幅や背屈角度においても同様、歩行速度の上昇とともにこれらの値も上がっています。

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ここで介入4週後の歩行をみていただきます。
初期評価では重度介助であったことから前方への推進力が乏しく、後方重心となっていました。
しかし介入4週後においては介助量軽減とともにより能動的な歩行が可能となったことで前方への重心移動が
比較的容易に行えるようになっています。


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これらの結果を踏まえ考察に移ります。
先行研究では強制的に早く歩かせると、歩行機能は改善する、また才藤らは運動学習において患者の能動性が
必要であると述べています。
歩行速度を高めた歩行はロッカーファンクションを含む生体力学的側面からエネルギー効率のよい歩行が可能となり、
またFIMとの相関があるとされています。
これらの歩行速度を高めた歩行を学習するには介助量を減らし、能動的に歩行させることが重要であり、今回もその
能動的な歩行で歩行速度を高め、さらに運動量を増やせたことが患者自身の歩行能力向上につながったと考えます。


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まとめです。
今回エビデンスレベルでは証明されていない脳卒中重度片麻痺患者の歩行障害に対してどのように進めれば
パーフォーマンス向上につながるのかを検討しました。
現在様々な病院で使用されつつある長下肢装具に加え、今回はさらに効率的な歩行訓練を求め各々のデバイスを
患者の能力に合わせて模索し選定しました。
結果、より能動的な歩行が行え、さらにそれは下肢運動量増加や運動学習につながったことで歩行能力向上が
得られました。
今回の検証から歩行因子を高めたより能動的な歩行訓練の導入は脳卒中重度片麻痺患者においても
有効であることが示唆されます。
以上で報告を終わります。ご静聴ありがとうございました。





…この症例のように、弛緩性の重度の麻痺が認められる場合などでは、最初は徒手的に長下肢装具を牽引した方が良い場合があるのです。
まぁ当然といえば当然なのですが。
で、圧倒的多数の患者さんで、徐々に、徐々に、T-Supportの張力を利用したスイングが何かと便利な時期がやってくるのです。
そこらへんの判断をどうするか、が難しいとこなんですけどね。。。



さぁ次行ってみよう。
ここまで3本は、T-Supportを装用して、効果を発揮し始めるまでどれくらいの時間が必要か、あるいはその装着利得はどの程度の期間なのか、ってことを検証してたんですけどね。
次は、T-Supportの装用を終了した後の持続効果に関する検証です。

7-4.T-Supportの使用を終了した後、その持続効果はいかほどか?

これは2016年の第28回兵庫県理学療法学術大会でハスイくんが発表した内容。
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はじめに。
当院で積極的に使用しているT-Supportは即時的に歩行速度を向上させることが検証されてきました。
しかし、その効果の持続期間についての検証は多くありません。

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本研究の目的はT-Supportの治療効果がどの程度持続するのかを検証することです。

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まず、T-Supportとはスライドの図のように体幹前面と下腿前面を弾性バンドで連結された歩行補助具をいいます。
特徴として、立脚期では主に立脚中期〜後期にかけて弾性バンドが張力を発揮し、股関節屈曲モーメントを補うことで股関節伸展角度および足関節背屈角度の増大が認められています。
遊脚期では、スイングをサポートすることが認められています。

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対象は60歳代で初発脳卒中片麻痺患者です。
ブルンストロームリカバリーステージはYであり、随意性は高い方です。
指示理解に影響を及ぼすような著明な高次脳機能障害はありません。
歩容に関して、右立脚後期の股関節伸展角度が減少しており、右下肢振り出し時に過剰努力を認めました。
前述した歩容はT-Support装用により、即時的に改善が認められたため、30日間の歩行トレーニングを実施しました。

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検証方法についてです。
当院入院から3日目よりT-Support装用期とし、10m歩行時間にて装用・未装用で差が認められなくなった33日目から装用利得がなくなったと判断し、未装用期としました。
そして未装用期から何日間持続効果が得られるかを記録しました。
アウトカムは10m歩行での時間、歩数を約1週間毎に測定しました。

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結果です。
T-Support装用期には装用利得がありましたが、それ以降はグラフに示した通りT-Supportの装用利得はほぼ認められず装用期の状態を維持していました。
33日目の10m歩行所要時間はT-Support未装用期で9.25秒、歩数は17歩でした。40日目では8.03秒・16歩、47日目では8.65秒・17歩、55日目では8.85秒・17歩、64日目では9.12秒・17歩でした。

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治療効果に持続が得られた要因として、生体力学的および神経生理学的観点から考察します。
T-Supportの弾性バンドによる補助は、伸張されながら張力を発揮するため、立脚中期〜後期にかけて大腰筋が遠心性収縮をすることに類似します。
つまり、T-Supportによる股関節伸展-屈曲動作の補助機構は股関節の軟部組織で生じる動きと生体力学的に相似が高いと考えられます。

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また歩行動作を再建する上では、学習方法が重要であると考えられています。
生体力学的相似の高いT-Supportによる補助は、より無意識的な潜在学習という学習形式をとり、その筋収縮様式の類似した感覚情報は主に小脳によって処理されていると考えられます。
つまり補助があることによって生体の歩行に近い状態でスムーズに歩くことができるため、T-Supportは神経生理学的観点からも汎化されやすいと考えられます。

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まとめです。
即時的にT-Support装用の効果があった者に30日間T-Support装用での歩行トレーニングを実施しました。
継ぎ目なくT-Support未装用での歩行トレーニングを実施し、T-Supportの効果は約30日間の持続を認めました。
本症例において、T-Supportに依存することなく装用時の歩行が汎化されたことを示唆する結果となりました。

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…まぁ、そういうこと。

 

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ニックネーム
中谷知生
所在地
兵庫県宝塚市にある、宝塚リハビリテーション病院に勤めています。
職業
理学療法士です。

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