5.T-Supportの弾性バンドの伸長に関する研究

 

img_20160806-104709.png
T-Supportの弾性バンドって、当然ながら装着下肢の股関節屈曲モーメントを増大させるために存在するんだよね。
特にイメージしているのは、上の写真のように、装着下肢の股関節が伸展位になったときにじわじわとエネルギーをため込んでいく感じ。

…じゃぁこの弾性バンド、いったいどのタイミングで一番伸ばされてるのか、知りたいでしょ?
それを調べてみたの。

5-1.長下肢装具で膝を固定したときと、固定を解除したときで弾性バンドの伸長の度合いはどのように変化するか?


これはね、2015年の第27回兵庫県理学療法学術大会で発表したん。
でね、この発表、学会長賞をもらったんだ。
てへ。

img_20160806-121136.png
ほら、これ、ボキの職場のデスク。
一番目立つところにおいてますねん。

…ということで、その表彰してもらった発表内容がこちら。

img_20160806-105911.jpg


img_20160806-105920.jpg
よろしくお願いします.
先ほどの森井の発表と同じ症例での発表ですので、それを前提にお聞きいただければよろしいかと思われます.
我々がT-Supportという歩行補助具の開発を始めてから、もう3年以上が経過ます。
コンセプトは非常にシンプルで、ゴムバンドで下肢装具を引っ張ると片麻痺患者さんの歩行能力が高まる、というものです。
これまで様々な改良を加え、効果検証を行ってまいりました。

img_20160806-105927.jpg
当初は、左の写真のような形状で、長下肢装具の大腿カフを引っ張るというものでした。
その後、バンドを延長し、下腿カフを牽引する形に変更しました。
私は、この変更が、T-Supportの可能性を大きく拡げることになったと考えています。
なぜならば、これにより長下肢装具からカットダウンを経て、短下肢装具にも対応できるようになったからです。

img_20160806-105933.jpg
使用することで、当然ながら様々な疑問を抱きます。
今回検証した疑問はこちらです。
ゴムバンドは、いったいどのタイミングで伸びているのか?

img_20160806-105940.jpg
それを明らかにするために、バンドの伸長度合を計測するセンサーを作成しました。
これは、T-Supportのバンド起始部に装着し、伸張力を測定するものです。
計測値はゲイトジャッジシステムで記録します。

img_20160806-105946.jpg
T-Supportは装着下肢の股関節伸展・あるいは膝関節を屈曲した際にバンドが伸びますので、歩行時の下肢のアライメントの変化によるT-Supportの状況を知る事ができます。
今回、重度の運動麻痺を呈する症例において、長下肢装具の膝関節ロック時とロック解除時の、バンドの伸びの変化を検証しました。

img_20160806-105952.jpg
で、なにがわかったのか、結論から言いますと、膝関節の固定の有無で、ゴムバンドの伸長度合がマックスになるタイミングが異なる、ということがわかりました。
T-Supportは、膝関節の固定の有無で、その歩行補助具としての機能が変化するという事が示唆されたのです。
それについて説明します。
まずは測定時の様子を動画でご覧いただきます。
詳しい内容は後程静止画で説明しますので、こんな感じで歩いていた、というイメージを持っていただければよいかな、と思います。

img_20160806-105958.jpg
これが長下肢で膝関節を固定した状態ですね。
バンドの伸長の度合は、一番下のグラフで見ることができます。

img_20160806-110005.jpg
こちらが膝のロックを解除した場合ですね。
この両者で、バンドの伸長のタイミングにどのような違いがあるのでしょうか。

img_20160806-110011.jpg
では静止画で見ていきます。
グラフエリアは、1歩行周期分にズームしています.
バンドのテンションはこのグラフで表示されまして、上にあがればそれだけ引っ張られている、ということを表します.
まず膝関節ロック時ですね。
この赤い線と画像がシンクロしておりますので、テンションが最も高くなるのは、ターミナルスタンスの終わりごろだということがわかります。

img_20160806-110017.jpg
では膝関節のロックを解除した場合はどうなるでしょうか。
先ほど、膝関節固定時にはターミナルスタンスで伸長のピーク
を迎えましたが、ロック解除時には、ターミナルスタンスでは
まだピークを迎えません。

img_20160806-110023.jpg
テンションがピークを迎えるのは、プレスイングの終わりからイニシャルスイングの始まりにかけてです。
膝ロック固定時と異なり、ロック解除下では膝関節の最大屈曲時に伴い伸長がピークを迎えます。

img_20160806-110030.jpg
ではこの違いにどういう意味があるのでしょうか?
私は、T-Supportの伸長のタイミングを通して、どの筋の運動をT-Supportが代償する、あるいは代償を通して側通しようとしているのか、を知る手がかりになると思います。
今回の検証から推察されることは、膝関節をロックした状態では、股関節を屈曲させる腸腰筋の働きの補助が中心となる一方、ロック解除下では股関節伸展位から、股関節を屈曲させ、かつ膝関節を伸展させて踵接地を保証する、大腿直筋の働きを補助する役割を果たしているのではないかと考えました。

img_20160806-110037.jpg
今後は、どれくらいの強さで引っ張ることが理想なのか。
そしてその時の筋活動への影響はどうなっているのか、ということを調べて報告しようと考えています。

プロフィール画像
ニックネーム
中谷知生
所在地
兵庫県宝塚市にある、宝塚リハビリテーション病院に勤めています。
職業
理学療法士です。

ブログ

12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
QRコード
携帯用QRコード
アクセス数
ページビュー数