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3.T-Support装用時の筋電図変化についての研究

 


T-Supportを患者さんの脚に装着すると、いろんな効果があるんです。
その中でも面白いのが、筋電図の変化。
当院ではパシフィックサプライ社製のゲイトジャッジシステムの筋電図を使ってます。
これで患者さんの主に下腿の筋電図を評価することが多いんですけどね。
特に強く感じるのは、T-Supportを装用すると、患者さんの下腿三頭筋の収縮の強さとか、タイミングががらりと変化する、ってこと。
これについて、今まで何本か発表してきてるんです。
それをちょっとご紹介。

3-1.歩行補助具T-Support装用回復期脳卒中片麻痺患者の下腿筋群の同時収縮に及ぼす影響

これは2016年2月に大阪で開催された、『第5回脳血管障害への下肢装具カンファレンス2016』の大阪会場で、宝塚リハビリテーション病院のウメモトくんが発表しました。


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…あ、ちなみにウメモトくんはこれまで何度か学会発表をしてるんですが、彼は極度の緊張しぃなのです。
質疑応答がとっても苦手で、質問されたらフリーズする、というのが彼の得意技なのです。
この写真は発表前。
極度の緊張です。
そのウメモトくんの緊張感を感じながら、彼のパワポのスライドと読み原稿をそのまんま載せるのでまぁ読んでみてください。
非常に興味深い内容です。



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はじめに。
円滑な関節運動を遂行する上で、主動作筋と拮抗筋の協調した収縮が重要であるとされています。
しかし脳卒中片麻痺患者では立位・歩行動作時に下肢筋群の同時収縮が関節運動を阻害し、歩行能力低下の要因となると考えられています。

脳卒中片麻痺患者の下肢筋群の同時収縮に対するアプローチとして、装具療法や機能的電気刺激療法、また足底圧への注意課題などが提唱されていますが、明確な治療方法は確立されていません。

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当院では回復期脳卒中片麻痺患者の歩行トレーニングにおいて歩行補助具T-Supportを使用する機会が多くあります。
これまでの検証により、T-Supportの装用は装着下肢の立脚後期股関節屈曲モーメントおよび足関節底屈モーメントを増大させ、歩行速度を向上させる効果があることが明らかになっています。
しかしT-Support装用時の麻痺側下肢筋活動の変化については明らかになっていません。
今回運動麻痺は軽度で下肢装具を使用せず自立歩行が可能ですが、麻痺側下腿筋群の同時収縮の影響により足尖部のクリアランスに問題の見られた症例に対し、T-Supportを装用したところ、同時収縮の改善が見られました。
本症例の歩行時の筋活動および歩行能力の即時的・継時的変化について、考察を交えここに報告します。

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対象です。
対象は左被殻出血により右片麻痺を呈した
70歳代の男性です。
14病日の身体機能はSIASの下肢テストが12/15Brunnstrom Stageは下肢Xであり、麻痺側母趾の表在深部複合感覚に極軽度の感覚障害を認めました。歩行動作は、下肢装具は使用せずフリーハンド歩行が可能でしたが、麻痺側遊脚初期〜中期にかけて足尖部のクリアランスの低下による躓きを認め、不安定さを認めました。また、T-Support装用によりクリアランスは向上し安定性の向上が認められました。

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方法です。
まず
T-Supportの弾性バンドはベルクロで下肢装具の下腿カフに巻く構造のため、本症例では下腿に専用のサポーターを装用し、そこに弾性バンドを巻きつけて下腿を牽引しました。
T-Support装用による歩行動作への影響を検証するため、10m快適歩行での歩行速度とステップ数、パシフィックサプライ社製Gait Judge Systemを使用し、麻痺側前脛骨筋と腓腹筋の筋電図計測を実施しました。
評価は第
16病日および第23病日に実施しました。
 

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結果です。
まず初回評価時の
T-Support未装用及び装用時の動画をご覧下さい。
(動画一つ約15秒×各
2回)
スライドの筋電図波形は、緑色が腓腹筋、青色が前脛骨筋を示しています。
16病日である初回評価時、T-Support非装用時の10m快適歩行速度は13.40秒、ステップ数は23歩でした。
TSupport装用時は10.81秒、ステップ数は19歩と装用により即時的な改善が認められました。
筋電図評価においても
T-Support未装用時に認めた立脚中期から後期にかけて青色で示す前脛骨筋の持続的な収縮が、装用時に抑制されました。

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次に第23病日、1週間後の非装用時の結果です。
筋電図を見ると、1週間前T-Support未装用時に見られた立脚中期から後期にかけての前脛骨筋の持続的な収縮が抑制されていることがわかります。
10m快適歩行速度、ステップ数ともにT−Support非装用・装用時のデータはほぼ同様のものとなっています。

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非装用時の歩行能力の変化を比較します。
T-Support非装用時の10m快適歩行速度は13.40秒から7.97秒へ、ステップ数は23歩から19歩へと大きく改善していることが分かります。
また立脚中期から後期にかけての前脛骨筋の持続的な収縮が抑制されていることもわかります。

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考察です。

16病日の筋電図波形を見ると、歩行周期全般を通して前脛骨筋の持続的な収縮を示しており、腓腹筋 の収縮時にも活動していることがわかります。
この同時収縮により下腿後面筋群の機能が低下し、遊脚初期の膝関節屈曲・足関節底屈が阻害された結果、クリアランス低下に繋がったと思われます。
同日の
T-Support装用時の筋電図波形を見ると、腓腹筋収縮時の前脛骨筋の活動が抑制されており、これがT-Support装用の効果であると推察されます。


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先行研究では歩行時の股関節伸展運動と適切な荷重感覚が入力されることで、歩行周期に同調したリズミカルな筋活動が促されるとされています。
これまでの我々の検証では、歩行時に
T-Supportを装用することで、片麻痺患者では装着下肢の立脚後期の股関節伸展角度、足関節背屈角度が増大することが明らかになっています。
本症例では、
T-Supportの装用が股関節伸展角度を増大させ、前足部への適切な荷重感覚を入力させたことで、立脚中期〜後期にかけての前脛骨筋筋活動を即時的に抑制したものと考えました。
また筋電図波形の変化は第
23病日のT-Support未装用時にも見られており、T-Supportの効果には持続性があることも示唆されました。
 

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まとめです。
今回歩行時に立脚中期〜後期にかけて前脛骨筋の持続的収縮の認める症例にT-Supportを装用しました。
その結果前脛骨筋の持続的収縮が即時的に抑制されました。
また、効果は即時的だけでなく継時的に見られました。
今回の検証を通し、T-Supportは極軽度の脳卒中片麻痺患者においても麻痺側下肢筋群に歩行周期に同調した筋活動を促し、歩行能力を向上させる効果があることが明らかとなったと考えます。
 以上で発表を終わります。
ご静聴ありがとうございました。
(9分1秒/10分)



…ってことで。
ここでご紹介したように、運動麻痺が軽度の患者さんでも、下腿三頭筋の筋電図を測定してみると、遊脚期にもずっと筋収縮が持続している場合が多いわけです。
こういったケースで、T-Supportを比較的緩めに装着すると、効きます。
あ、ここでいう緩めっていうのは、装着下肢の股関節屈曲伸展中官位くらいの状態で、弾性バンドがプランプラン、くらいのニュアンスです。
で、立脚後期に股関節がしっかり伸展した際に弾性バンドがちょっとテンションかかる、くらいの感じ。
これくらいで、ガストロの筋収縮のタイミングががらりと変化する方が結構居られるわけです。

その理由は…現在考え中なんですけどね。

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あ、ちなみに、これ、脳血管障害への下肢装具カンファレンス2015大阪大会の座長や発表者の記念写真。
注目すべきは…やはり、後列右から4人目のトモッキーと、その左のヒロニキの2人の表情でしょうか。
 

3-2.あ、これは筋電図を処理したわけじゃないけど、参考までに…


これは2015年、神戸でのリハビリテーション・ケア合同研究大会で発表した内容。
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このセッションはこの後、4本連続で、我々が開発したT-Supportという歩行補助具を使った臨床でのちょっとした工夫についての発表です。
まず、T-Supportとは一体何なのか、というお話から始めたいとおもいます。
当院では多くの脳卒中片麻痺患者さんの歩行トレーニングにおいて、積極的に下肢装具を使用しています。
T-Supportは、下肢装具と体幹部分をゴムバンドで連結することで、患者さんがもっと歩きやすくすることを目的として、2011年より開発を進めて参りました。

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2011年より開発を進めて参りまして、様々な試作品による効果検証を行ってきました。
ようやく納得できるものが出来上がりまして、近日中に販売が開始される予定です。
ここで商品名のT-Supportの意味を説明しておきたいと思います。

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T-SupportのTには3つの意味が隠されているんですね。
一つは、私の職場である宝塚リハビリテーション病院のT。
もう一つは、体幹、トランクのT、ですね。
T-Supportは基本的に体幹部分を支持する機能がありますので、それを表しています。
で、3つ目が、私、中谷知生と申しますが、そのトモキんのT、ですね。
これ、まぁどうでもいい豆知識ですね。

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T-Supportの効果は大きく分けると2つあります。
一つは、スイングするときに、楽に脚を出せるということ。
もう一つは、スタンスの際に、脚の踏ん張りが効くということです。

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今から私が紹介する症例は、T-Supportを装着することで楽に脚が出せるようになった、というお話です。

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症例は、70歳代の男性で、右片麻痺ブルンストロームステージは3で、麻痺側の下腿後面の筋緊張の更新が著明でモデファイドアシュワーススケールは3でした。
このため、麻痺側下肢のスイング時に足関節が底屈する傾向にありました。
本症例の歩行動作時に、T-Supportを使用した場合に、どのような運動の変化が起こるかを検証しました。
計測には川村義肢社製ゲイトジャッジシステムを用い、歩行中の足関節運動をチェックしました。

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ゲイトジャッジシステムの特徴は、足関節が底屈位になった際に、ゲイトソリューションの油圧ユニットに発生する底屈トルク値を計測することが可能であるという点です。
トルク値はこのグラフで表示されます。
本来、スイング動作時の足関節は底屈位にならないため、スイング時にトルクが記録されるということは、スイング時に底屈方向の運動が生じていることを表しJます。
ではまず杖歩行時の様子をご覧いただきます。

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この患者さんに、T-Supportを装着していただきます。
すると、遊脚期の底屈トルクが減少します。

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10m歩行時のすべての歩行周期における、遊脚期の最大底屈トルク値の平均値を算出しました。
未使用時は3.9Nm、使用時は2.1Nmと、大幅な減少が認められました。

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なぜ底屈トルク値が減少したのかを考えます。
本症例は、比較的重度の運動麻痺を呈しており、麻痺側下肢のスイングの際に過剰な努力が見られていました。
その結果、スイング時に収縮する必要のない下腿の後面の筋群が収縮していました。
T-Supportはゴムバンドで楽にスイングできるように手伝ってくれます。
本症例の底屈トルク値の減少は、T-Supportの装着の結果、患者さんが楽にスイングできるようになったということを表したものだと考えます。

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…うん、ごめん、筋電図に関しては何にも触れてないんだけどね。
でもスライドで表示してる水色の筋電図波形、あれがガストロの筋電なのね。
それがT-Supportを使ってあげると、全体的に減少してるでしょ?
こういう変化、多いんですよ。
やっぱり患者さんにリラックスして歩いてもらうということがとっても大事だと思うんだ。

じゃぁ次いってみよう。
 

3-3.これは初めて、ちゃんと筋電図のデータを処理した発表ですよ。

第12回の日本神経理学療法学会学術集会でコマツさんが発表したやつです。
どうぞ。

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T-Supportとは、下肢装具を弾性バンドが牽引することで、下肢スイングを補助する歩行補助具です。主に中枢神経疾患で麻痺側下肢スイングの低下した症例において使用する機会が多くあります。
また下肢の支持性が低下した症例においては、立脚期での膝関節の安定性を向上させる効果も確認されています。
今回、立脚後期に膝関節が過度に屈曲し不安定性を認める症例に対して、T-Supportを使用することで立脚後期の歩行因子にどのような影響を与えるかを検証しましたので報告致します。

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対象は、中心性頚髄損傷により四肢不全麻痺を呈した70歳代男性であり、Frankel分類はCでした。下肢の麻痺は左側で優位であり、また左右ともに遠位筋で特に筋力低下を認めました。
歩行は抑速ブレーキ機能付き歩行器を使用し軽介助レベルで可能でしたが、左立脚後期で過度に膝関節が屈曲するため不安定性を認めていました。

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方法です。症例の左下肢に足継手にGait Solutionを備えた金属支柱付AFO・右下肢にSHBを装着し、評価は麻痺の強い左下肢で行いました。
評価項目は、10m歩行における所要時間とステップ数、立脚後期における腓腹筋の筋活動量、および前遊脚期における足関節底屈トルク値としました。
評価は即時的効果の検証として、歩行器歩行・フリーハンド介助歩行、T-Supportを装着したフリーハンド介助歩行の3条件における歩行因子を比較しました。
また経時的効果の検証として、T-Supportでの歩行練習を継続的に実施し、歩行器歩行時の歩行因子の変化を比較しました。

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解析方法はスライドをご参照ください。
なお、本症例において立脚後期は足関節が最大底屈位から最大背屈位となる区間と定義し、両者ともに歩容の安定した5歩行周期分のデータを算出しました。

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結果の前にGJの説明を致します。
画像の右側、いちばん上の緑の波形が足関節底屈トルク値を表しています。健常歩行では1歩行周期において2回、荷重応答期と前遊脚期に底屈トルクが発生します。
中央の白の波形が足関節角度を表しており、基線より上が背屈、基線より下が底屈位となっていることを示します。
一番下の水色の波形は腓腹筋の筋電図を表しています。High Passおよび移動平均処理後の波形になります。

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結果に移ります。まず歩行器歩行です。
緑の波形をご覧ください。荷重応答期での底屈トルクは認められていますが、前遊脚期においては底屈トルクが認められていません。
下の水色の波形をご覧ください。黄色の点線で区切った部分が立脚後期に相当します。立脚後期における腓腹筋の筋活動量は14.5μvでした。

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次にフリーハンド歩行です。
歩行器歩行と同様に、SPは認められません。
立脚後期における腓腹筋の筋活動量は15.5μvでした。

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T-Support歩行です。
前遊脚期において底屈トルク値が発生しているのがわかります。
腓腹筋の筋活動量は23.4μvでした。

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3つのグラフを比較します。
左が歩行器歩行、中央がフリーハンド歩行、右がT-Support歩行です。
T-Support歩行においてSPが出現しており、立脚後期における腓腹筋の筋活動量が増加しています。

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経時的評価に移ります。こちらは初回評価時より7日経過時点での歩行器です。
初回評価時と同様SPは認められていません。
立脚後期における腓腹筋の筋活動量は11.9μvです。

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23日経過時点の歩行器歩行です。
わずかではありますが、SPが認められています。
立脚後期における腓腹筋の筋活動量は36.7μvでした。

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3つのグラフを比較します。
T-Support歩行練習を開始して23日経過時点でSPが認められました。
また立脚後期における腓腹筋の筋活動量に増加が認められます。

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考察です。まず立脚期に期待されるT-Supportの効果について説明します。
 T-Supportは装着により股関節屈曲モーメントを増大させるため、立脚後期の股関節伸展角度の増大が期待できます。
それにより相対的に足関節が背屈位となり、Stretch Shortening Cycle(以下SSC)の作用により足関節底屈モーメントが増大すると考えられています。
また同時に立脚後期において膝関節伸展モーメントが増大するため、膝関節の安定性向上に効果があると考えています。

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本症例は立脚後期に過度に膝関節が屈曲する傾向がありました。
立脚後期において足関節背屈位を示していましたが、膝関節が屈曲していたことによりStretch Shortening Cycleが利用できなかったことが考えられます。
T-Supportを装着することで立脚後期での膝関節伸展を補助し、腓腹筋の筋活動量を増強させる運動が可能となったことで、Stretch Shortening Cycleが利用でき、SPが出現したと考えられます。
さらにT-Supportを使用した歩行トレーニングを継続することで、T-Support未装着下での歩行器歩行においても、装着時と同様の筋活動が得られ、SPが出現したと考えられます。

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まとめはスライドをご参照ください。






…T-Supportを使用することで、下腿三頭筋はいろいろ面白い変化を示すんです。
最初のウメモトくんの発表は、遊脚期にお休みできるようになったという変化。
3つめのコマツさんの発表は、立脚後期に筋の活動量が向上したという変化。

今後もいろんな患者さんでどんな変化をするか、検証してく必要がありますね。

 

プロフィール画像
ニックネーム
中谷知生
所在地
兵庫県宝塚市にある、宝塚リハビリテーション病院に勤めています。
職業
理学療法士です。

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