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卒中八策 その一 なるべく早く装具を創ろう

なぜなるべく早く装具を創った方がいいのか

理由1:

下肢装具を使用することでバランスの良い歩行が可能となり、歩行スピードが向上するから。

ソース:脳卒中治療ガイドライン2009


理由2:

適切な短下肢装具を使用することによる脳活動は、病巣側半球の広範囲な活動を抑え、歩行に必要なエリアの脳活動での動作を可能とし、結果として連合反応や共同運動を抑制するから。

ソース:短下肢装具が脳活動に及ぼす影響

-機能的近赤外分析法(fNIRS)を用いた検討

松元秀次ほか

日本義肢装具学会誌 28巻特別号 p130


理由3:

長下肢装具を処方する脳卒中片麻痺患者では、処方までの期間とその後のADLの向上に相関関係があるから。

回復期脳血管障害片麻痺患者に対する長下肢装具のエビデンス構築に向けて
―治療効果と作製時期についての考察―
木島 亜依

第46回日本理学療法学術大会

理由1についての解説

八策その一を何にするか。

これは悩みました。

ちなみに坂本龍馬が船中八策において第一に掲げたのは、

一、天下の政権を朝廷に奉還せしめ、政令宜しく朝廷より出づべき事。 

だそうです。

つまり大政奉還を唱えたわけですな。


そこで私が卒中八策のその一において何を策定するか。

やっぱり装具を早く創ろうという、あまりに基本的ではありますが、我々理学療法士が

まだまだ徹底できていない部分を掲げてみようかと思うのです。

そこでみなさん大好きな脳卒中治療ガイドラインにおいて、下肢装具のエビデンスが

どう記載されているか、確認しておきましょう。

脳卒中治療ガイドライン2009における下肢装具療法の記載

二本義肢装具学会誌28巻2号の特集記事にていて、有園製作所の義肢装具士狩野綾子氏が

『脳卒中の治療用装具はあり得るか』

という論文を書いておられます。

そこで、脳卒中治療ガイドライン2009において下肢装具療法がどう記載されているか、非常に良くまとまっていますので、ここで紹介してみたいと思います。


・脳卒中後に処方される装具は、麻痺や廃用症候群で生じた機能障害に対して、歩

行や日常生活動作訓練を行う際の補助のたの道具として使用されてきた。

・制度上は医療保険で作製される治療用装具であるが、整形外科などで処方される

固定や免荷といった本来の治療的な意味をもつ装具としての意味合いで捉えられる

ことは少なかった。

・しかし近年の脳卒中発症後の早期リハビリテーション導入、早期退院の流れの中

で、装具療法に関してもその処方の時期や効果などについて再考されるようになっ

た。

・より治療的な側面での効果が装具に求められ、それを裏付けるための研究が多くな

されるようになっている。

・脳神経生理学における脳の可塑性についての研究が進むにつれ、装具を用いた訓

練が脳の機能回復に対しどのような役割を担い得るかという議論も起こりつつある。

・『脳卒中治療ガイドライン2009』では、脳卒中リハビリテーションにおける装具療法の効果に関する記載がなされ、エビデンスのある治療法として議論ができるようになった。

・記載は以下の2か所。

 1)廃用症候群を予防し、早期のADL向上と社会復帰を図るために、。十分なリスク

管理のもとに出来るだけ発症後早期から積極的なリハビリテーションを行うことが強く

求められる(グレードA)。その内容には、早期座位・立位、装具を用いた早期歩行訓

練、摂食・嚥下訓練、セルフケア訓練などが含まれる(急性期リハビリテーション)


 2)脳卒中片麻痺で内反尖足がある患者に、歩行の改善のために短下肢装具を用

いることが勧められる(グレードB)(歩行障害に対するリハビリテーション)

・1)では、急性期リハにおいて廃用症候群など安静による合併症を防ぎ、効果的なリ

ハビリテーションを行うために、できるだけ早期からリハを開始することが重要であり、

早期からの立位や歩行を可能とするための道具としての装具の必要性が謳われてい

る。

・残念ながら、根拠となった論文のいずれも装具使用と未使用での予後の比較を行っ

ているわけではないので、装具の効果を直接示すものではない。しかし、より介助料

の必要な急性期の立位、歩行訓練に下肢装具による支持が有効であることは想像に

難くない。

・2)は、内反尖足に対しての短下肢装具の有効性を示すものである。そのエビデンス

として支柱付き装具の使用により動的にバランスの良い歩行が可能となり、麻痺側

立位時間が延長し、振り出しが対称性となり、麻痺足の安定性が増すとしたHesseら

の研究を、また装具なしに比べて立位バランスの左右対称性、ケイデンスおよび歩行

速度が改善し、床、カーペット上での歩行が改善したというShefflerらの研究を挙げて

いる。これらのことは、我々も経験的に認識している装具の効果であるが、使用する

装具の種類によっては逆に下肢の変形やエネルギーコストが増悪する場合もあり、

症例に応じた装具タイプの処方例についても早期のガイドライン設定を期待したいとこ

ろである。

・脳卒中治療ガイドライン2009の中では、上記のほかにも装具と関連する治療につい

ての記載がある。歩行障害に対するリハビリテーションでは、起立-着席訓練や歩行

訓練などの下肢訓練量を多くすることは、歩行能力の改善のために強く勧められる

(グレードA)とし、根拠として患側下肢集中訓練を行うと、上肢訓練を行った群に比べ

て歩行速度、歩行耐久性が改善し、その度合いは歩行訓練時間に相関するとしてい

る。限られたリハスタッフ人員で十分な下肢訓練量を確保するためには、装具や歩行

器などの機器の使用が有効である。


・またトレッドミル訓練、免荷式動力型歩行補助装置は脳卒中患者の歩行を改善する

ので勧められる(グレードB)とある。


・これまでに述べたように、脳卒中後の装具は、その処方の時期や目的については

ある一定のコンセンサスを得たといっても良いと思われる。しかし、どのような装具を

用いるか、という具体的な処方基準のようなものはまだ確立されておらず、施設ごと

に基準を設けて使用されていると思われる。


・具体的な装具の仕様に関しては、さらに各施設や地域で様々な特色がある。最近

の学会では、急性期から足関節に底屈制動機能を持たせた長下肢装具を用いて訓

練し、歩行スピードや歩行時の筋活動パターンを改善するといった報告が多くなされ

ており、今後の更なる研究の深まりを期待したい。



…長々と抜粋しましたが、やはり、なるべく早く装具を創る、ということは大切なんです

よね。根拠もしっかりしたものがあると思います。

それでもね、ボキの周りにもまだまだ沢山居ますよ。

装具療法に対するアレルギーを抱えた理学療法士が。

第49回日本リハビリテーション医学会学術集会の抄録に… 

そういう意味で、かなり刺激的な文献を発見しました。
首都医校基礎学科の長尾龍郎先生の発表です。
タイトルは、
『脳卒中回復期リハビリテーションにおける長下肢装具療法の問題点』

以下そのまんま掲載します。


2004年の厚労省の高齢者リハ研究会において、回復期リハの効率が悪いことが指

摘されている。欧米リハ医療に比して長い入院期間が問題だと思うが、その原因は

早期立位・歩行の遅れと不足である。重症脳卒中片麻痺患者の立位歩行訓練には

患側下肢の支持性を確保する長下肢装具が必須であるが、多くの療法士が消極的

な態度を示す。その意味での困難と、少数例であるが肥満者や筋委縮の強い症例に

対する長下肢装具の効果を高めるために行った改良点について報告を行う。


症例は56歳主婦、脳出血左片麻痺Brunnstrom stage2、体重90、2011.3.16発症1

月後、演者が勤める回復期リハ病棟に入院した。診察後、主治医、本人、夫、療法士

合意の下に長下肢装具を処方したが、担当PTが独断で、採型を保留とした。


再調整のため、予定より1月以上遅れて完成。肥満と筋萎縮のため、装具上縁の適

合には細心の注意を払った。安定性を高めるため、可及的に坐骨・大転子部を覆い、

座位時の不快感を少なくするために柔軟にした。また、膝継手はステップロックとし、

アンロックは前方から患者が片手で可能になる仕様とした。


完成後、担当PTが独断で、大腿部を外して短下肢装具にし、重度の介助手技で訓練

していた。


今後は根気よく療法士と合意を形成し、さらに症例を増やし、装具上縁部分に軟性水

硬性プラスティックを用いて適合を向上させ、調整度の高い足・膝継手(ダブルクレン

ザック)で費用を下げるなどの工夫を重ねて報告する。




…どう思いました?
まず、この長尾龍郎氏についてググってみると、日本義肢装具学会 前会長、という

びっくりするようなえらい人物のようです。
そのお方が、えらい怒ったはりますよ。
そらそうでしょうね。
担当PTが独断で採型を保留し、担当PTが独断で短下肢装具にしてたんですから。
いや、私はこの発表を実際に聴いたわけじゃぁないんで、この抄録の内容についてここでどうこう言うつもりは毛頭ないんですけれども。

ひょっとしたらものすごく使いにくい装具だったのかもしれない。
かもしれない。
でも、結果的に理学療法士の仕事がこういう風に書かれるっていうのは、私は個人的に悔しいなぁと思うわけです。


で、繰り返しになりますが、まだまだ装具療法に対してどこかしら拒否的なイメージを持ったセラピストは多いんですよ。


装具を使うべきか?

装具を使わないべきか?

装具を使わないでも済む方法は無いか?

という思考から抜け出せない理学療法士がたくさん居る。


それって、違うと思うんですよね。


理由2についての解説

これは2012年の日本義肢装具学会学術大会で発表されてた内容です。

私、あまり勉強が好きではないのです。

特に、脳みその中身の話になると非常に弱い。

まぁ決して自慢することではないのですが、事実なのです。

だから、この手の、脳血流酸素動態でどうこう、みたいな発表は、いくら理解しようと

思ってもなかなか消化できない。

んですが、この発表内容はとっても良かった。

以下に要点を抜粋してみます。


・脳卒中片麻痺患者において、装具の有無が脳活動に及ぼす影響はほとんど報告がない。

・運動学的側面からだけでなく、生理学的な側面からの検討も必要である。

・対象は脳卒中片麻痺患者8名で、BRSは3が3名、4が4名、5が1名。

・上記の対象者で裸足歩行と装具を使用した歩行を行い、脳血流の状態を、fNIRSで記録し比較した。

・結果、病巣側半球の多くで、裸足歩行が装具歩行よりも酸素化ヘモグロビン値が有意に増加した。

・下肢の一次運動野領域では、装具歩行が裸足歩行と比較して、酸素化ヘモグロビン値が有意に増加した。

・非病巣側半球では、装具歩行が裸足歩行と比べて脳賦活領域が限局していた。



…という内容です。

で、松元さんはこう考察したはります。



裸足歩行は、異常歩行や麻痺側下肢の痙縮だけでなく、麻痺側上肢への連合反応や共同運動が出現しやすくなる恐れがある。

本研究結果から、適切なAFOを使用することによる脳活動は、病巣側半球の広範囲な活動が少なく、また非病巣側半球の活動も限局した領域であった。

病巣側半球の広範囲な活動は、連合反応や共同運動の惹起につながると考えれば、AFO 歩行は必要な脳の活動のみで行うことができる歩行様式といえる。



だそうです。

この発表はとってもわかりやすくて、会場も大いに盛り上がってました。

可能であれば今後、装具の種類や介助方法によって脳の活動がどう変化するか、が明らかになると面白いなぁと思ったことでした。

当然の話だが、ただ創るだけじゃぁだめなんだよ

このサイトのあちこちで書いてますけど、私、吉尾雅春マニアなんです。

大好きなんです。

システム手帳には吉尾先生のサインを挟んでます。

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左が吉尾先生、右が山本澄子先生のサイン。

閑話休題。


で、吉尾雅春編集のこの本。

img_20120808-061404.jpg

その中で、星文彦先生が担当してる『運動制御と運動学習』という部分。

92ページにええこと書いてますわ。


【運動療法提供の際のポイント】

理学療法士自身に治療目標である運動課題の理想型、いわゆる理想的運動パター

ンが表象化できていなければならない。

患者も練習を行う前に、運動課題を言語-認知段階の学習として表象化しなければな

らない。そのため理学療法士は、運動課題に関する十分な説明と、イメージ化しやす

いようにデモンストレーションやビデオなどの手段を使って、理想的運動課題を提示す

ることが大切である。

実際の練習場面では、患者が実際に行う運動や動作の練習は内外受容器からの情

報をフィードバックしている過程であり、特に運動学習には運動感覚に基づく内在的

フィードバックが重要であるため、理学療法士の行う介助や各手技、いわゆるハンドリ

ングは、理想型の運動パターンや姿勢変化の情報を付与する源となる。

適切なハンドリングによる反復練習は、より適切な理想型へと誘導し、宣言的知識か

ら手続き的知識へと記憶形成を変換させる運動感覚の情報媒体となる。

学習段階の後半にあたる適応性を獲得するためには、理想型に近い運動パターンで

課題遂行が可能になった時点で、具体的な生活環境下での問題解決型学習へと進

め、運動戦略の多様化と意思決定能力の向上を目指していく。




…うん、ええこと書いてる。

ええこと書いてるでしょ?

我々が日々の理学療法において実施するのは、装具療法、じゃぁないんですよね。

一番大事なことは装具じゃなくて、患者さんがそれを使ってどんな運動をできるようになるか、ということ。

その運動療法を行う上で、とっても大切なことがここに書いてあると思います。


目の前の患者さんにとって、理想的な運動はどういうものなのか?

その運動の再現性を高めるためにどういうふうに環境を整えるべきなのか?

そのために装具が必要なら、装具はなるべく早く用意した方がいいですよね。

だって我々が行う理学療法は治療行為なんだもん。


下肢装具が進化してきて、ゲイトジャッジのような評価機器も進化してきて、その中で
我々理学療法士はそれに応じた進歩をしてるのだろうか?
と思うわけです。

理由3についての解説

これは第46回の全国学会で初台リハが発表してました。
興味のある方はそちらの抄録を参照してください。
どんな内容か、ざっと説明してみます。

【目的】
・初台リハでは積極的に装具療法を行っており、早期に装具を処方するよう心掛けている。
・その数は年間300本で、その中には長下肢装具も多く含まれている。
・初台リハに入院し、1本目に装具を処方した者を分析し、
 1.長下肢装具処方による治療効果(入院時・退院時のADLの変化)
 2.処方時期と治療効果の関連性
を明らかにし、装具の早期作成の有効性を検証した。

【方法】
・2009年4月1日〜2010年8月31日に初台リハに入院した1046人中、装具を処方した332名を対象とした。
・そのうち、長下肢装具を1本目に処方した66名と両側支柱付き短下肢装具またはプラスチック製短下肢装具を処方した95名を比較。
・両群の入院期間、FIM運動項目を比較、また両群の発症から装具処方までの日数とFIM運動項目 利得の相関を比較。

【結果】
・入院期間は、長下肢装具を処方した群の方が有意に長期であった。
・入院時FIM運動項目 は長下肢装具を処方した群において重症度が高かった。
・退院時までのFIM運動項目 の変化では、長下肢装具を処方した群で変化が少なかった。
・長下肢装具を処方した群では、発症までの日数とFIM運動項目 に弱い相関関係が認められた。
・短下肢装具を処方した群では、発症から処方までの日数とFIM運動項目 の相関関係に有意な差が認められなかった。

【考察】
・長下肢装具を作成した群では、早期作成するほど退院時のFIM運動項目 が上昇する傾向にあったことから、下肢の運動機能が比較的重度でも、早期より長下肢装具を使用しアプローチすることで退院時のADL向上につながる可能性があり、早期作成の意義はあるものと思われる。



…って発表でした。
これはなかなか面白い内容だと思うんです。
重度の患者ほど、早期に長下肢装具を作成するメリットが大きい。
とっても大事なことです。
一方で、この抄録には初台リハでの装具処方までの期間が記載されてます。
長下肢装具では51.4±24.0日。
短下肢装具では45.1±45.1日。
発症から処方までの期間です。
発症から処方までの期間、ということは、初台リハに入院してから何日で作製したか、ではないってことですよね。
この日数は、世間一般でいうとやっぱり速いことになるんだろうか?
今度自分の病院でも調べてみよう。

まぁ兎に角ね、長下肢装具が適応になる症例では特に、早く創って早く立って歩け、ということだと思います。




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ニックネーム
中谷知生
所在地
兵庫県宝塚市にある、宝塚リハビリテーション病院に勤めています。
職業
理学療法士です。

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