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新・若手理学療法士のための臨床研究法入門に行ってきた

第1回(2014年9月26日講義分)

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・さて、ここでは研究法入門ということで、臨床研究の進め方について今年度中に私が10回シリーズで講習会を開きます。
・その第一回です。

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・つい先日ですが、8月の終わりにPT協会の講習会、新・若手理学療法士のための臨床研究法入門という2日間のコースに参加してきたんですね。
・PTのための研究の進め方、統計の方法なんかについての講習会だったんですが、これが非常に分かりやすかったので、これをベースにお伝えしようと思います。
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・本日は1回目、『なぜ臨床研究を行うのか?』というテーマです。

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・皆さんの中にはひょっとしたらこう思っている方もいるかもしれません。
・研究なんてええやんか。
・俺ら臨床家やねんから、と。
・でもそれではいけないんですね。
・我々は研究をしっかり行わなければなりません。
・なぜか。
・それは、臨床家として勉強するうえで、研究は必要だから、です。
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・勉強って何でしょうか?
・勉強とは、自分にとって既知なことの上に何かをプラスすることです。
・そこで通常は、文献を読んだり講習会に参加したりして『既知』のレベルを高めてゆけばよいのですね。
・それがセラピストとしての『勉強』と思っている人が多いのではないでしょうか。
・無論それが基本なのですが、それだけでは必ず行き詰ります。

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・たとえば全く新しい局面に立たされたとき、あるいはすでに公表された情報では解決できない問題に直面したときにどうするか。

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・臨床家は、自らの手で新しい局面、困難な問題を解決しなければなりません。
・またそのような経験を後世のセラピストに伝えてゆかなくてはなりません。
・それが臨床家としての義務なんですね。

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・皆さんはこんな言葉を知っていますか?
・これは『巨人の肩の上』というメタファーですね。
・起源については諸説ありますが、アイザック・ニュートンが書簡においてこのフレーズを使用したことで有名になりました。
・「私がより遠くを見渡せたとすれば、それは巨人の肩の上に乗る事によって、である」という意味です。
・新しい科学的成果というものは、それ以前の成果の上に、論理的整合性を持って積み重なる。そしてさらにその上に新たな仕事が積み重ねられてゆく、ということです。
・我々の仕事は、当たり前ですが、先人の積み重ねてきた発見の上になりたっているんですね。
・現在我々がある程度の科学性を持った治療行為ができているのは先人の研究活動のおかげなのです。
・そして我々は、我々の後についてくるセラピストがさらなる高みに到達できるような研究をしなければなりません。

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・たとえば皆さんは臨床においてこんな疑問を持つことがありませんか?
・なぜこんな症状が起きるのだろうか?
・この障害を表すための適切な評価法は何なのだろうか?
・この治療の有効性はどの程度なのだろうか?
・この治療に妥当性はあるのだろうか?
・この治療の量は適切なのだろうか?
・この障害はどんな経過をたどるのだろうか?
・機能的帰結を決定する因子は何なのだろうか?
・こうした疑問を持ったとき、それが研究活動のきっかけとなります。
・若いスタッフと話をしていて、『何か研究をしてみぃへんか?』と言うと、『いやボクは研究なんて…』としり込みすることがありますが、研究なんてそんな大それたものじゃないんですね。
・我々は臨床家なわけですから、『研究のための研究』というようなことは全く行う必要はないわけです。
・むしろ、目の前の患者さんをもっとよくするにはどうしたらいいのだろうか、我々が日々の臨床場面において悩んだこと、もっと知りたいと思ったこと、それが研究の種になるわけです。
・ですから、研究に臨むにあたっては、常に『もっと良い治療ができないだろうか』『もっと優れたセラピストになるにはどうしたらいいだろうか』と考えることが重要なわけです。

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・新人の皆さんは覚えておられるでしょうか?
・尚和会の療法部は、君たちを、科学的根拠に基づいた治療を行えるセラピストとして育成しよう、と考えています。
・2年目以上のセラピストは初めて聞いた、と言う人もいるかもしれませんが、そういうことに決めたんです。
・科学的根拠、つまりEBM ですね。

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・これは春先の勉強会の焼き直しになりますが、EBM について簡単に復讐しておきましょう。
・1年目の諸君は、もうEBMについては正しく理解していると思います。
・2年目以上のスタッフはひょっとしたらEBMのことを誤解しているかもしれないので再度説明しておきます。
・EBM とは、最新最良の医学知見を用いる医療のあり方のことです。
・個々の患者のケアに関わる意思を決定するために、最新かつ最良の根拠(エビデンス)を用いることです。

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このスライドが非常に重要で、ここはしっかり理解してほしいのですが、
従来のリハビリテーション医療は、
1:患者の臨床問題や疑問点の抽出

2:治療方法の決定

3:治療
4:適用結果の評価、というステップを踏むことが多かったんですね。
で、この2の部分が経験則に基づいていたんですね。
そこを変えるのがEBMです。
この過程を
2:患者の臨床問題や疑問点に関する情報を検索して、
3:得られた情報の批判的吟味をして、
4:得られた情報の患者への適用の検討をする、本当にその介入に意味があるのかをしっかり検討する、というステップに変える。
これがこれからみなさんに徹底してもらいたい部分です。
我々はここが弱いんですね。
これは私自身の反省を含めた発言ですが、月曜日の朝って、今まで見たことのない治療風景がよく目撃されるんですね。
おそらくセラピストが週末に何かの講習会に参加して、それをさっそく月曜日に患者さんで試す。
言うなれば患者さんを実験台にしている風景が見られるわけです。
で、その治療行為の検証をキチンとすることなく、何の責任をとるでもなく、また謎の講習会に参加する、という繰り返し。
これではいかん、ということです。

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・これはEBM研究の第一人者といわれる斉藤先生の文献からひっぱってきた言葉です。
・EBMの実践において非常に重要なポイントは、『臨床判断・決断の過程を明示する』ということにある。
・言い換えると、『その臨床判断がどのような根拠に基づいて行われたのかを説明できる』ということである。
ということなんですね。
・これを意識して臨床判断をしてもらいたいと思います。
・そして、その判断をするためには、我々は研究をしなければならなくなってきます。
・なんでか。

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・日本理学療法士協会のホームページでは、科学的根拠に基づいた理学療法、これをEBPTと呼んでいますが、これを実践するためにまず、治療における患者の問題を明確化しなさい、としています。
・問題点の明確化、というとまぁ実習生の指導みたいになってきますけれども、実際我々もそこがきっちりできていないんですよね。
・日本理学療法士協会は、問題点を明確化するために、PICOという考え方を推奨しています。
・PICOとは、どんな患者に対して(Patient)、どんな介入を(intervention)、何と比較して(comparison)、どんな結果になるのか(outcome)を考えましょう、ということです。
・これは決して特別な考え方じゃないはずなんですね。
・我々は常に臨床でこういう疑問を抱いているはずなんです。
・この患者さんにこのアプローチでええんやろか?
・他の治療法は無いんやろか?
・この治療をするとどんな結果が得られるんやろか?
・そこを大事にしてください。
・たとえば週末に何かの講習会に参加する、あるいは同僚に何か新しい技術を教えてもらう。
・それをさっそく患者さんで試すな、とは言いません。
・ただし、何か新しい知識・技術を手に入れた場合は、必ずこのPICOのステップを踏んでほしいんですね。
・果たしてこの治療法は従来のものと比較してどのような結果が得られるのだろうか。
・その検証を経ずに、自分だけが何か特別な存在になったと勘違いしてはいけません。
・従来の治療法よりもどの部分でより高い地点に到達したのか、それを検証して、周りのスタッフに伝えていかないと、ただの自己満足に終わってしまいます。
・そして、自分のアプローチが何と比較して、どのような結果を生むのか、それを知るには、質の高い情報収集が必要になってくるんですよね。
・設定したPICOに関連した一次情報(原著論文、RCT)と二次情報(ガイドライン、システマティックレビュー、メタアナリシス)を検索する必要があります。
・あ、この辺の単語がよくわからんという人は、今後第2回以降で解説するので聞き流してもらっても良いです。
・簡単に言うと、臨床の疑問を解決するためには、ちゃんと調べないとあかん、ということです。

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・けど、例えば理学療法に関する文献を検索しても、必ずしも目的に適った文献にヒットするとは限りません。
・先ほども述べましたが、最新の知識を持っていないと、最良の治療はできないわけです。
・けれども必ずしも必要な情報が入手できるとは限らない。
・なんでか。

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・それは、理学療法に関する科学的情報がまだまだ不足しているからなんですね。
・情報が足りないんですよ。

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・だから、我々が良い治療をする、良き臨床家であるためには、優れた研究家にならなければならないわけです。
・繰り返しになりますが、我々が研究をする理由、それは、良い治療を行うために必要だからなんですね。
・そして、研究活動を行うことはそれに付随して我々に喜びを与えてくれます。

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・この中にもすでに学会発表を経験した、というスタッフが数名いると思いますが、発表するという行為自体が、我々に喜びを与えてくれます。
・右上の写真は2007年の3月に、当時私は高知県の近森リハビリテーション病院というところで働いていたんですが、そこでの最終日の仕事も学会発表、高知県理学療法学会での学会発表でした。
・それから7年経って、今年度は大阪府の理学療法学会でセミナーの講師をさせていただく機会を得ました。
・学術活動には麻薬的な効果があって、やればやるほどやめられなくなる部分があるんですね。
・初めて学会で発表したとき、それが人に認められたとき、初めての座長、国際学会での発表、学会発表の内容を論文化する苦労と受理されたときの喜び、学会で講演を依頼されたときの嬉しさ、そして自分の研究を通して患者さんに恩返しができたかな、と思えたときの嬉しさ。
・こうしたものは学術活動に真剣に取り組んだものだけが経験することのできる喜びです。
・こうやって、この尚和会療法部で、何かのご縁で私と皆さんがともに働く機会を得たわけですから、できるだけ多くの皆さんにこのような研究家としての喜びを経験してほしいと私は思うわけです。

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・とはいっても、まず何から手をつけたらいいのかわからない、という人も多いでしょう。
・とりあえず研究と言うと、難しいんじゃないか、と思うかもしれません。
・してみたいと思っても、指導者がいないし、とかね。
・中でも一番皆さんを悩ませるのはここではないでしょうか。
・統計が苦手。
・確かに研究をする上で統計処理というのは避けては通れない道です。
・ですから、私がこれから10回シリーズで教えます。

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・内容はこんな感じを予定しています。
・今日がその第1回でしたね。
・今年度中に10回全部終わらせます。
・この内容は基本的に、最初にお話した理学療法講習会の10時間程度の講義の内容を、さらに私なりの解釈を付け加えて解説するという内容です。
・全部聞いたら、もう統計に対する苦手意識は無くなっていると思います。
・皆さん頑張ってついてきてください。

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・これが最後のスライドですが、セラピストは4種類に分類される、というお話です。
・新人諸君はまずしっかりとレイバー、肉体労働者として自分のHandで働いてください。
しかしHandだけでは寂しいですよね。
・その次に、HandにHeadを加える努力をしてください。そうするとクラフトスマン、職人になります。
・それだけではいけません。
・さらに経験を重ねて、HandとHeadにHeartが加わるとアーティスト、芸術家になります。
・ここで満足したらあきませんよ。
・Hand・Head・HeartにPrinciple、原理原則を追求すると、プロフェッサー、教授になります。
・プロフェッサー、教授とは、公の場で専門的な内容をはっきりとしゃべる、という行為です。
・もともとは宗教色の強い言葉だったようで、自らの信仰をみんなの前で告白する、というような意味合いがあるようです。
・我々も、自分の治療行為がどういう意味があるのか、いかに優れているのか、これを自己満足で終わらせず、みんなの前で発表して、本当のプロフェッショナルを目指していけば、もっと仕事が面白くなると思います。
 

プロフィール画像
ニックネーム
中谷知生
所在地
兵庫県宝塚市にある、宝塚リハビリテーション病院に勤めています。
職業
理学療法士です。

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